1997年12月16日。
長年の手塚治虫ファンにとって、ある意味で特別な日。
20年の歳月を費やして発行され続けた手塚治虫漫画全集(講談社刊)全400巻完結の日。
書棚に並んだ全集を眺めながら、来し方を思い起こす。
20年前…
私は我が大学の文学部国文学科の機関誌に「ふあんの外面(内面)」と題する手塚治虫に関する駄文を書き連ねていた。
切毛吾朗(きるけごろう)などというふざけたペンネームで。
ふと思いついて、その機関誌を押し入れの奥から引っ張り出してきて、読み返してみる。
今と変わらぬ思い込みだけの文章。
しかし、そのうちになぜか、「これをホームページに載せるのも面白いのではないか?」という気持ちになってきてしまった。
そんなに昔の文章に何の価値があるかと問われたら…。いや、これこそ杞憂というものだろう。
そもそも、思い入れこそがこうしたページの唯一の存在価値なのだ…。
という次第で、以下に当時の文章を掲げたいと思う。表現の誤りや余りにもひどい楽屋オチを除いては、現在の自分の見解と異なる部分があっても変えずにそのまま残すことにした。その方が公正であると考えたためである。ただし、注釈(※印を付し、黄色の文字で表示)の形で、新たに分かった情報や私自身の考えを適宜付け加えてある。この部分は徐々にでも充実させていきたいと考えている。
それでは、いよいよ20年前にタイムスリップ。