もともとボサノヴァとの出会いはもう30年以上前にさかのぼり小学校の高学年か中学に入ったばかりの頃である。確か・・・。その頃はビートルズ全盛だったし自分もレコードを借りたり少しの小遣いで買ったりして聞いていたのだが、家のレコード棚の中にたまたまアストラッド・ジルベルトのシングル版を見つけて聞いたのが出会いの始まりだった。
自分の単なる想像でいまだに聞いてないのだが、多分、パーティー好きだった兄貴がパーティか何かで使ったのだと思う。A面が「おいしい水」B面が「Desafinado」か何かだったと思う。
その歌声と、リッチな感じのする音楽に、大人の世界への入り口を見たような気がしてまぶしい思いを抱いた記憶がある。
その直後にその同じアストラッド・ジルベルトのLP盤を購入しやたら聞きまくったのも懐かしい思い出だ。
そうしてその後は決してボサノヴァに凝ることはなかったが、何かあるたびに聞いていたものだった。
大学に入り車に乗るようになり、車で聴く音楽のレパートリーには必ずアストラッド・ジルベルトは入っていた。
そしてこれまた神田神保町の富士レコードで珍しいジョアン・ジルベルトの「3月の水」というレコードを手に入れこれまた擦り切れるまで聞いたものだった。歯切れ良い生ギターと、地味だけどしっかりした歌唱力のジョアンの音楽にぞっこん惚れ込んだのもそのころだ。そしてサンバカンソンの世界にも足を踏み入れ、ベッチ・カルヴァッリョのLPも買ってずいぶん聞いたものだった。
それでもそれはそれだけで終わり、ほどなく自分は音楽、それもクラシックの世界に入り留学もし結婚もしボサノヴァとはしばらく遠ざかっていた。もう何年前だろう・・・テレビのコマーシャルで小野リサの「Polaire」を聞いて、オ!と思いまたボサノヴァを聞き出したのが今に続いている。そうは言ってもCDを買いだしたのはここ数ヶ月だ。
人生というのは思ったように行かない。それは誰が悪いのでもなく自分が選んだ結果だと思うけどそれでもどうにもならない精神的な迷宮に迷い込むことがここ一年くらいあった。自分がライフワークで選んだクラシックの音楽だけど自分の悩みをほんの一時でも解決してくれるのは実はいつもボサノヴァの音楽だった。
そんな素晴らしい音楽、音楽が持っている世界を少しでもみなさんと共有したい。
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