2001年2月20日更新
名 前 | 由 来 | エピソード名 | |
R E G U L A R |
ピノコ | 名作童話『ピノキオ』から採られたもの。「ふたりのピノコ」(第7巻)でBJ氏自身の口から語られている。 手塚が生み出した「異形」キャラクター中の極致であろう。 |
別表参照 |
琵琶丸 | 『どろろ』に登場する琵琶法師が演じていることから。 なお、初登場のエピソード名は勝新太郎主演映画『座頭市』を頂戴したもの。 |
座頭医師 湯治場の二人 |
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山田野博士 | 古くからの博士スタア――名作『来るべき世界』などに出演――、山田野加賀士(=花丸博士)が演じている。役名は、もちろん
童謡の「山田の案山子(かかし)」をもじってつけられたものである。 この人物、BJのよき理解者として他のエピソードにも何度か登場する。 |
針 など |
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ドクター・キリコ | 切り子ガラスからの命名とも取れるが、ここはやはりシュールレアリスムの画家、ジョルジオ・デ・キリコを由来とすると考えたい。連載当時はまだ健在だった。(1978年まで存命) では、なぜこの画家の名前が採用されたのか?それについては、下の項目をご覧いただきたい。 |
恐怖菌 (原題は「死に神の化身」) など |
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ブラック・ジャック |
手塚自身は否定しているものの、この名前がトランプ・ゲームから採られたものであるのは、初出時の扉絵や「少年チャンピオン・コミックス」版のあちこちにトランプ・カードに擬したBJのイラストが描かれていることなどから推して明らかである。そう思って、今まではBJ氏の名前の由来について深く考えたことがなかった。 付け足すならば、ジョルジオ(イタリア語)もジョルジュ(フランス語)も英語ではジョージに相当する名前なのではないだろうか? 美術に詳しい知人に尋ねたところ、「キリコという画家は影にこだわった作品を数多く残している」のだそうだ。この事実は、キリコがブラック・ジャックの影として生み出されてきたことの傍証になりうると思う。 |
全エピソード | |
間黒男 (はざまくろお) |
BJ氏の本名。文庫版では第10巻に収められた右のエピソードで初めて明らかになる。 その中でBJ氏自身がこんなふうに語っている。 「ブラックは黒ジャックは男 黒男だ」 つまり、自分が「ブラック・ジャック」を名乗っているのは、本名をもじったものである、と告白しているわけだ。 だが、この発言が行われたのが連載開始から1年半も経ってからのことである事実を忘れてはならない。 周知のように『ブラック・ジャック』は5回ぐらいの短期連載の予定で始められ、人気を得てエピソードを重ねることになった作品である。 したがって、主人公の細かい経歴は次第に肉づけされていったと考えるほうが自然である。当然、この本名も、そのひとつだろう。 いつも黒ずくめの服をまとった「真っ黒な男」、ブラック・ジャック。その「真」の字を同訓の「間」に置き換え、さらに読み替えを行っただけ。相当にいい加減な代物と断言してよい。 その証拠に、BJ氏の告白を聞いた後のピノコのリアクションにご注目願いたい。 「へんなの ロゼットってしみぬきの広告みたい」 彼女ですらこの名前に納得していないのである。 (2001年2月14日・記) |
えらばれたマスク |
1 | 名 前 | 由 来 | エピソード名 |
アクド | 「あくどい」ヤツ | 医者はどこだ! | |
ニクラ | 「にくらしい」ヤツ | ||
割烹鬼頭 | p30に描かれた看板の文字。 鬼頭判事補を念頭に置いているのは下の3つや「三木おろし」という看板などから分かる。ロッキード疑獄から始まった一連の政治事件ネタである。 鬼頭判事補に関してはこちらをごらんいただきたい。 |
春一番 | |
BAR DANGAI | やはりp30に描かれた看板の文字。 「弾劾」裁判をもじっている。 |
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荒船寿司 | こちらもp30に描かれた看板の文字。「三木おろし」の中心人物だった「荒船清十郎議員」をもじったもの。 | ||
お茶漬処そつ井 | 同じくp30に描かれた看板の文字。刑事「訴追」をもじったものだ。 | ||
小松佐京先生 | 『日本沈没』で名高いSF作家、小松左京氏をもじったもの。ちなみに、小松氏はかつて漫画家だったという経歴の持ち主である。 | ||
可仁(かに)博士 | 横倍(よこばい)医院の医師。すなわち「カニの横バイ」である。 | 畸形囊腫 | |
内科・外科・中科・上科(・下科・其他科) | p107、p110の看板の文字。特に後者は、あの有名な本間丈太郎の言葉の背後に描かれている。 手塚の典型的な「照れ隠し」である。 | ときには真珠のように | |
ゴ・ギャン | フランスの大画家、ゴーギャンから。 | 絵が死んでいる! | |
ダム・ディー培養液 | 文庫版未収録エピソード「2人のジャン」に登場するダム教授とディー教授が開発した培養液である。
ふたり合わせて「ダム・ディー」となることから、「ダンディー」あたりのもじりだろうと考えていたのだが、この「ダム」と「ディー」にはちゃんとした由来があった
。 さらに調査を進めたところ、角川文庫版「鏡の国のアリス」巻末に、原典の名前の由来に関する解説があるのを発見。興味がある方はどうぞ。 |
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徳川先生 | 徳川家康からであろう。 | 六等星 | |
柴田先生 | 上の徳川先生から考えて、柴田勝家を意識してのネーミングであろう。 | ||
椎竹先生 | いかにも椎茸のような容貌ではあるが、不当に「しいたげられている」医師という意味合いが強いのではないだろうか?
ネーミングとは直接関わらないのだが、大変おもしろい発見を寄せていただいたので、ここに紹介したいと思う。 |
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ロック | 演じているスタア、「ロック・ホーム」から。後のエピソードで明らかになるように「鈴木」姓である。 | ブラック・クィーン | |
デンバーさん | デンバーといえば、「ジョン・デンバー」が思い浮かぶ。カントリー&ウェスタンの大スターであったが、近年事故死した。 ただし、このエピソードと「ジョン・デンバー」には直接的関係は見出せない。演じているのもヒゲオヤジ氏で、とうてい歌手には見えないし…。 |
U18は知っていた | |
タクやん | 『ノーマン』の主人公、中条タクが実名で出演。 彼の勤めている寿司屋の名が「能(のう)寿司」であることにも注目!この名前そのものが「ノーマン」のもじりになっているのだ。 |
二つの愛 | |
トロとヒラメとバカとマヌケとアホで七百五十円ね | p264でのタクやんの台詞。何でこういう台詞回しになるのか考えもしなかったのだが、「トロ」が「とろい」に通ずる言葉であることに今さら気づいた。 |
2 | 名 前 | 由 来 | エピソード名 |
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甚大先生 | 「甚大」すなわち「はなはだしい」という意味。莫大な治療費を請求することにちなんでつけられた名前であろう。 | おばあちゃん |
トリトン | ギリシア神話の半人半魚の海神。 本作ではBJ氏がシャチにつけた名前ではあるが、「トリトンといえばイルカを思い出す」のが手塚ファンというものだ。 |
シャチの詩 | |
加藤清正 | いうまでもなく安土桃山から江戸時代にかけての武将の名である。 | 三者三様 | |
福田赳男 | 「福田赳夫」とかいう名前の総理大臣がいたような…。 | ||
大平正好 | 「大平正芳」とかいう名前の総理大臣がいたような…。 | ||
中曾根安弘 | 「中曾根康弘」とかいう名前の総理大臣がいたような…。 | ||
ダーティ・ジャック | 人名ではなく、エピソードのタイトルである。 これ、初出当時大人気だった映画『ダーティ・ハリー』(クリント・イーストウッド主演)をパクったものだ。園児を乗せたバスが災難に遭うという設定が映画そのままである点に注目されたし! |
ダーティ・ジャック | |
カン・プラ・チン卿 | 「ちんぷんかんぷん」からきたものかと思っていたが、これはとんでもない勘違いだった。 また、氏からは梶山季之がそのものずばり「かんぷらちんき」と題する小説を書いていることもご教示いただいた。この場を借りて感謝申し上げたい。 なお、さすがの広辞苑にも「かんぷらちんき」は載っていない。ただし、「かんぷら」という方言が関東の一部で使われることが示されていた。「じゃがいも」という意味らしい。ふうむ、なるほど、である。 |
誘拐 | |
カイナン共和国 | なんとも気になる国名。なにがネタなんだろう?この国は、後に「万引き犬」でも出てくる。 | ||
福禄病院院長 | 七福神のひとり「福禄寿」から。容貌もそのままである。 | 流れ作業 | |
蟻谷蜂助(ありたにほうすけ) | 大安(たいあん)商事の経理課長。「アリやハチのように働く日本人」のイメージから採られたものか? | 助け合い | |
四古玉先生 | 大安商事からの賄賂を受け取った大臣の名。「しこたま」儲けるところからのネーミング。 | ||
モロゾフ | この名前からは著名なお菓子メーカーの名を思い浮かべないわけにはいかない。 | ストラディバリウス |
3 | 名 前 | 由 来 | エピソード名 |
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戸隠博士 | 戸隠神社からのイメージだろう。戸隠神社には豊作の神が祀られているとのこと。「豊作」というのは本エピソードの内容とは正反対だが、おそらく 手塚はそこまで意識したうえでこの名を採用したのではないだろうか? | ちぢむ!! |
亜古賀礼子 | 「あこがれの子」ですな。 | きみのミスだ! | |
常磐荘 | 主人公の少年が住んでいるアパートの名。あの「トキワ荘」をもじったものに違いない。 | コマドリと少年 | |
イワン・ユーリイッチ・ガガノフ | この人物が登場するエピソードは、1976年9月6日に実際に起きた事件をヒントにしている。 ちなみにその事件の当事者の名はビクトル・イワノビッチ・ベレンコという。 |
空からきた子ども | |
VTOL(ヴイトール) | ガガノフ少佐が亡命のために使用した戦闘機の機種。 いや、これ自体は「Vertical Take Off and Landing plane=垂直離着陸機」の略称であり、なんら不審な名前ではない。 しかし、実際の事件で飛来したミグ戦闘機はVTOLではなかった。手塚がなぜこの書き換えを行ったのかを考えたとき、その事件の当事者の「ビクトル」というファーストネームにたどり着くのは自然の成り行きというものであろう。 もちろん素直に考えれば、BJの家の前にミグ戦闘機が着陸できっこないことこそが書き換えの理由なんだろうけど…。 (2004年10月20日) |
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ウラン連邦 | ガガノフの出身国である。当然、旧ソビエト連邦を意識したネーミングだ。 この名前からは名作『来るべき世界』を思い出さないわけにはいかない。 |
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山之辺 | 『火の鳥 未来編』の主人公、「山之辺マサト」が演じている。 原作での彼は間違いなくマンガの歴史上最も過酷な運命を背負わされた人物だ。 |
執念 |
4 | 名 前 | 由 来 | エピソード名 |
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水嶋先生 | 「水島新司」をもじったもの。初出当時、少年チャンピオン誌に『ドカベン』を連載中。 | 虚像 |
山神先生 | 「山上たつひこ」をもじったもの。初出当時、少年チャンピオン誌に『がきデカ』を連載中。 | ||
鴨辺(かもなべ)先生 | 「鴨川つばめ」をもじったもの。初出当時、少年チャンピオン誌に『マカロニほうれん荘』を連載中。しかし、この場合は「鴨鍋」をも意識してます。 | ||
一関、二ノ宮、三ナスビ | 「一富士、二鷹、三茄子」。初夢に関する縁起かつぎですな。 | ||
茂木(もてぎ) | 「クラス一のもてもて男」だったそうな。なんか『ドラえもん』みたい… | ||
ペンペン荘 | 落ちぶれた志摩洋平先生が住んでいたアパート。当然、「ぺんぺん草」からつけられたものである。ついでに志摩先生、そこでは「ゾーキン」などとあだ名されていた。 | ||
友引警部 | 六曜のひとつ「友引日」から。アセチレン・ランプ演じるこの警部は以前に「獅子面病」で関わりがあった。(文庫版では収録順が入れ替わってしまっている。) 強引にBJ氏を事件に引き込むことからのネーミングなのだろうか? |
山手線の哲 | |
ブリリアント三世 | 「光り輝く」A国の皇帝。いかにもゴージャスな感じがするが…。 | 肩書き | |
壁村ビル | p185にさりげなく表示されている。当時の少年チャンピオン誌編集長、「壁村耐三」氏が元ネタ。となると、その下の「青木会館」というのも臭い。 | 落としもの | |
(越前医師) | まだこのエピソードでは名前が出てこない。「エチゼンガニ」そのものの顔。後の「コルシカの兄弟」で初めて自分の名を名乗っている。 | 焼け焦げた人形 | |
奥山出可(でか) | 体が異様に「デカイ」から。エピソード名は「ノミの心臓」を意識したものか? | デカの心臓 | |
マッハ文朱 | 実在の元女子プロレスラーの名。なんでニシキゴイにこんな名前をつけたのやら。 | ||
五増緒部屋の振掛親方 | 「ゴマ塩のフリカケ」…。なんともはや…。 | ||
太良子部屋 | 「タラコ」…。いやはや…。 | ||
イングリッド・ハイネマン | 重症の心臓病手術のためにスウェーデンからやってきた少女…。そう、スウェーデン出身の大女優「イングリッド・バーグマン」をパクっちゃったものなのだ。 | はるかなる国から | |
板台教授 | 元ネタは銭湯の「番台」なんだろうか? | ||
阿然建設 | マンション建設工事現場の看板に…。まさに「唖然」としますな。 | 万引き犬 | |
ラルゴ | 「ものすごくスロー」という理由で、BJ氏自身が命名。 |
5 | 名 前 | 由 来 | エピソード名 |
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王仁川先生 | 「鬼瓦」からであろう。顔も怖い。 …鬼瓦といえば、『火の鳥 鳳凰編』を思い出してしまう。 |
ホスピタル |
中立病院 | 東亜大学出身者が学閥を作ってしまっている病院が「中立」とは!強烈な皮肉である。 | ||
三流大学 | 以前、BJ氏の出身大学が話題になったことがある。ポン骨大学だとかなんとか…しかし、このエピソードで辰巳先生が断言しているではないか。BJ氏と辰巳先生は「三流大学」という名の大学の出身なのだ。(ウソです。冗談です!お許しをm(__)m) | ||
手瀬間胃腸病院 | たしかに「手狭(てぜま)」な病院だ。 | もらい水 | |
世見捨書店 | そのまんま「読み捨て」。 | ||
あげぞ古軒 | そのまんま「上げ底」。食堂風だが、いったいどんなものが出てくるのだろう? | ||
安全石材店 | p59に見える。地震でガラガラと崩壊しているのだが…(~_~;) | ||
桃田善江 | 初出当時のアイドル、「桜田淳子と山口百恵」あたりを足したものか。 | されどいつわりの日々 | |
フグプロダクション | 社長の顔が…。たぶん、絵が先にできて名前は後からつけられたのだろう。 などと書いてしまったが、やっぱり元ネタがあったことに気づいた。これは、当時芸能界において絶大な勢力を誇った「渡辺プロダクション」、通称「ナベプロ」から連想されたものに違いない。 |
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三流病院 | なにせ院長があの「浪岡の殿様」(『百物語』)だもんな…。 数ページ後には「三流半」に格下げされてるし。…これは「三行半(みくだりはん)」のパロディかもしれない。 |
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奥底温泉 | いかにも「秘湯」って感じだ。 | 湯治場の二人 | |
縦溝せま史 | 初出当時はミステリーといえば、「横溝正史」の時代だった。 | ピノコ・ミステリー | |
間久部緑郎 | もちろん、『バンパイヤ』の実質的主人公、「間久部緑郎」その人が役柄そのままの人物を演じている。 | 刻印 | |
草井 | これも有名スタアのひとり、「スカンク草井(めちゃめちゃな名前ですな(~_~;))」が演じている。 | 助っ人 | |
山家村 | 「山家(やまが)」といえばいかにも田舎の雰囲気が漂う。 | 古和医院 | |
古和井可仁 | これは高校程度の国語知識が必要だろうか? 「こはいかに?」すなわち「これはどうしたことだ?」という意味の文語である。 |
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シッ・チャカ・メッ・チャカ氏 | 某国の政治局員の名だそうな。さぞ「しっちゃかめっちゃか」な人物だったのだろう。 | オオカミ少女 | |
航空自衛隊場末基地 | 飲み屋ならばともかく自衛隊に「場末」もないだろうに…(~_~;) | 雪の夜ばなし |