10月9日(火)
★に画像へのリンクがあります。
朝8時ちょっと前に起きて、ホテル内のレストランで朝食を食べました。朝食は洋風と中華風が選べるようになっていて、せっかくの中国ですから中華風を選びました。中華の朝定食といった感じで、ちょうど日本の松華堂弁当のように木の箱の中におかずの器が並び、ごはんは中華粥です。おいしく平らげました。
9時に
★ホテルのロビーで
吴さんと待ち合わせだったので、少し早めに降りて
★待っていました。9時を少し過ぎたところで車で迎えに来てくれて、
杭州観光のはじまりです。昨夜と同じ車で、明るいところで見たら黒のクラウン2800でした。もちろん、
吴さんとは別に運転手さんがいます。う~~ん、日本でもこんな身分になってみたい。
街の中を少し走って
西湖のほとりで車を降り、
西湖に浮かんだ
★小さな舟に乗りました。日本の手漕ぎボートよりやや大きめの木の舟の中央に、小さなテーブルをはさんで2人掛けのソファが向い合わせに置いてあります。そこに私たちと
吴さんが座って、舟の舳先と艫に漕ぐ人が座ります。1mくらいの高さのところに鴨居のような柱があり、私たちが座ると、巻いてあった布をくるくるとほどきながらその柱の上にかぶせていきます。これでちょうど商店のテントひさしのような屋根ができ上がります。予想以上に風情のある舟遊びになりそうです。
中山公园のあたりから漕ぎだしてしばらくすると、モーターボートが近付いてきてマイクで何か喋りました。舟を漕いでいる人もなにか大声で返事をしたあと、屋根を巻き取って片付けてしまいました。
吴さんの説明によれば、風が強いので舟がひっくりかえらないように
★屋根を片付けるよう警察の船が注意していったのだそうです。さらに
吴さんの説明によれば、
西湖の自然環境を維持するために、
西湖に浮かんでいる船は警察のモーターボートを除いてエンジン式を使ってはいけないそうです。私たちの乗っている小舟はもちろん手漕ぎですし、
★もう少し大きな貸しボートは借りた観光客が自らオールで漕いでいます。普通に連絡船に使われている中型船もバッテリーでスクリューを回すのだそうで、エンジン音はしません。さすが観光都市
杭州だと思いました。確かにこれだと湖全体がとっても静かで、のんびりしています。
まわりを見回しても、山は日本の山とそっくりです。中国の山水画にでてくるような急峻な岩ばかりの山はもっと内陸部にあるようで、
★杭州の山はなだらかな、緑いっぱいのごく見慣れた感じの山です。風はやや強いものの雲もない上天気で、あちこち回らなくてもこのまま浮かんでいるだけで私は充分です。
そして次に車を降りたのは杭州植物园でした。いろんな植物のあるやたらに広い公園です。東山植物園を想像すれば近いものがありますが、温室などは全くなくて全部屋外にあります。つまり植物園とはいうものの、雑木林に小径をつけたようなものです(ちょっと言い過ぎ)。なんだかどこをどう歩いたのかわかりませんが、入口とは違うところに出たら、またもちゃんと車が先回りして待っていてくれました。
そしてホンの少し走って
玉泉に着きました。少しだけ歩いて
★山外山菜馆で昼食です。次から次へとでてくる料理をいやというほど食べました。
叫化童鸡、
东坡肉が名物だそうで、
绍兴加饭酒を飲みながら酒の勢いで食べまくりました。
叫化童鸡とは鶏の腹に野菜を詰め、蒸し焼きにしたものだそうです。昔、こじきが鶏を1羽盗んだものの調理のあてもなく、内臓をとり畑で盗んだ野菜をなんでも詰込みそのまままるごと土に埋めた上で焚き火をして焼き上がったという言い伝えがあり、「こじき鶏」ともいわれるそうです。圧力釜による高圧調理と同じですから肉がやわらかく、まるごとでもどんどん箸でちぎって食べられます。腹に詰めた野菜もほどよく味をだしているのでしょうね。
东坡肉とはつまり豚の角煮です。こんなのは私はとっても苦手で日本では決して手をださないのですが、せっかく中国まで来たので少しかじってみました。脂身の部分はゼリーのように柔らかくつるっとしていて、肉の部分には甘辛くとても濃い味付けがしてあります。それらを両方同時にかじると、まず口の中で脂身がホワッとひろがって、それから噛み締めると甘辛い味がしみでてきてちょうどデザートのような感じでした。といっても味付けが濃いのでデザートにはなりません。こういう料理はビールよりも绍兴酒を飲みながら食べるのがとても合います。詩人、苏东坡が特に好んだというぐらいで普通の豚の角煮とはどこかちょっと違うようです。
さんざん食べて腹が苦しくなったところで、山外山菜馆をでて玉泉を歩きました。ここでの見ものは大きな大きな鯉でした。10m四方に満たない小さな池(四角い回廊に囲まれた四角な人工池)の中に体長が1mを越えるような大きな鯉が泳いでいるのです。鯉というよりイルカとかシャチくらいのサイズなので、なんだかあまり覗きこむと怖いような気がします。ちょうど幼稚園(か小学校低学年)の遠足の集団が来ていて、その子どもたちよりもはるかに大きかったです。
再び車に乗ってまた少しだけ走って、
★灵隐寺というお寺に着きました。ガイドブックによれば西暦326年創建の古刹だそうで、とにかく大きな仏像が並んでいました。
★金貼りのお釈迦様(高さ20m)、弥勤菩薩様、弁天様、
★極彩色の四天王、極楽図のレリーフなど、仏教の色遣いはもともと派手なものだったことがよくわかるお寺でした。お寺の脇を流れる谷の向こう側は天竺から飛んできたという伝説が伝わる
飞来峰の断崖が続き、その岩壁には
★いくつもの仏像が彫られています。10世紀から14世紀にかけて彫られたということで、そのうちの1つは
★日本人の僧が彫ったものでした。
もうひとつ谷沿いにいくつもあるものは、観光地でおなじみの売店です。ビーチパラソルのようなビニール傘の下、それぞれに可口可乐、雪碧、芬達などの飲み物を売ったり、宝丽来の記念写真を撮ってくれたりしています。
てな所を歩いていたら、さっきの昼食の大食いのせいかトイレへ行きたくなりました。でも中国ではホテルのトイレ以外はとんでもないことが多いと聞いていたのでしばらくは我慢していたんですが、やっぱりこういうことの我慢はよくありません。吴さんに頼んでトイレを案内してもらいました。
さすがに有名な観光地だけあって有料トイレがありました。なんだか小銭を払うと(私たちは外人専用の紙幣しか持っていないので吴さんに小銭をだしてもらった)小さなトタン片のようなものをくれて、それをトイレの入口にいるおじさんに渡すと紙をくれます。この紙がボソボソの紙で、水分の多い場合には滲みでて手が汚れるのではないだろうかと心配になるような紙です。さしあたって今回の場合は大丈夫のようですけど・・・
中国のトイレは(大も)仕切りがないゾと聞いていたのですが、有料トイレなので多少の期待はありました。でも中にはいると隣と後ろに腰までの高さの仕切りがあるだけで、けっこう広いトイレの中に2~30の便器(座るタイプじゃなくってしゃがむタイプ)がズラ~!っと並んでいました。前(しゃがんだ際の)には何もなく通路に面して、向かいの便器がこっちを向いています。うぅむ、と悩んでしまいました。それに私が入っていったときには他に誰もいなかったのでどの場所を選ぶか、これもけっこう悩みました。でも悩んで解決する問題ではないので、1ヵ所を適当に選んでみました。しゃがんでしまえばもう正面の1ヵ所しか見えなくなるので、これで結構個室感があります。よく観察すると、どうやら以前はちゃんとドアがついていたようです(といっても腰までの高さで上からは丸見え)。私がそこにいる間に2、3人が入ってきましたが、たくさんある便器の中でわざわざ私の正面を選ぶようなこともなく、こんな調子ならそれほど問題はないでしょうね。ま、そんなこんなで無事に済ませてついでに灵隐寺も後にしました。
ホテルに戻るともう夕方です。今夜の夕食は杭州市人民政府外事办公室の方々が歓迎の会食をしてくれるということで、ちょっと焦りました。用心のために荷物にブレザーは持ってきてたのに、シャツは色物のしかありません。急いでホテルの売店に行きました。杭州といえばシルクの本場、シルクのワイシャツが60元から120元で売っています(日本円で約1,800円から約3,600円)。80元(約2,400円)のを買ってきました。売店の人もまさかお土産にせずすぐに着るとは思ってなかったでしょう。で、なんとかマトモな格好をして、迎えに来てくれた吴さんと車に乗りました。
車は西湖の南の方へ回り、西湖国宾馆に入りました。なんでもこのホテルは杭州で最も格式が高くて、VIPが杭州を訪れる時に利用するんだそうです。中国人では毛沢东の常宿、日本人も総理大臣(当時)の鈴木善幸が宿泊したそうです。そんなこんなでビビりながら玄関横付けの車から中に入りました。
ホテル内の1室(宿泊室でなく、会食用の小部屋)には杭州市人民政府外事办公室の汪銀儿副主任と同室友好城市处の李焔处长が待っていてくれました。同じ公務員といっても私はヒラ、それなりの地位のある人との会食は緊張します。
吴さんと私たちの計5人でテーブルを囲み会食。でてくる料理は(たぶん)高級なコース料理なのでしょう。満漢全席(字も自信ない)のようなものでなく、フランス料理のコースみたいな感じです。東坡肉もでてきました。
西湖啤酒と
绍兴加饭酒をチャンポンで飲みながらここでも充分に食べました。もちろん
汪さんと
李さんは日本語が喋れませんので、
吴さんの通訳での会話です。最後に花束と
杭州市の観光案内書、そして
景德镇の器をペアでもらってとても感激しました。まさかこんな歓迎をしてくれるとは思ってもみませんでした。観光案内書には
汪さんの筆で
★「喜結良縁、永浴愛河」と書いてくれてありました。緊張と感激でとても疲れて、この日は
友好饭店に戻ってそのまま眠りました。
コカコーラ、ファンタ、スプライト、ポラロイドなどについて
上海市内でこれらの外国資本の看板を見ても驚きはしませんでしたが、杭州の有名な古刹の真ん前で軒並に外国資本が幅をきかせているというのは驚きました。いろんなところを回ってみて、上海や杭州のあたりではコーラをはじめとする炭酸飲料がはやっていることがわかりました。あと流行の飲み物は粒入りオレンジジュースで、香港の会社とかポッカとかのを見かけました。
ただ屋外の売店(時にはちゃんとした店でも)で売られている炭酸飲料は冷やされていません。私たちが食事をするような高級なホテルではビールはもちろんのことジュースもコーラも冷えているのに、露店では氷水に浸しもせずただ棚にコーラの缶が並んでいるだけです。そして瓶でも缶でもラッパ飲みということはしないようで、必ず細いストロー(日本のものの半分くらいの太さ)がついてきます。冷えてもいない炭酸飲料をストローで飲んでいては泡ばっかりのような気がしますが、みんなストローでチューチュー吸っています。
ポラロイドのついでに写真の話をすれば、観光地で見かけた人はどの人も写真撮影の時にきちんとしたポーズをとります。日本人からすればちょっとクサいくらいのポーズをつけて写真に写ります。なんだか通りすがりに見ているだけの私の方が恥ずかしくなってくるようです。だからといって、国民性がナントカなんて話を書くつもりはありませんけどね。