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制作にあたって

美濃市文化会館では「市民の劇場」として、国内外の優れた舞台芸術を紹介すると共に、地元の芸術文化活動を積極的に企画支援してきた。
4年前に、岐阜県で開催された国民文化祭には、美濃の昔話「紙すきのうた」がオペラ化され、美濃市の子ども達が出演した。
その後、国の助成を受けて企画されたミュージカル「小さな虫の物語」には、美濃市の多数の子ども達も出演して、中国公演を成功させた。
この公演を機会に、美濃市在住の音楽大学等で学んだ音楽家が、今後の音楽劇創作に協力を申し出て下さった。
機は熟したと言うか…。美濃市単独で、音楽劇を上演したいと言う声に答え、保護者が中心となり児童ミュージカル集団を誕生させ、今年1月にミュージカル「ブンナよ木からおりてこい」を上演、本日ここに市民の劇場として創作オペラ「お姫の井戸」を上演することになった。
舞台演出家として「紙すきのうた」を始め数多くの作品を指導されてきた松岡直太郎先生が、美濃市上牧出身であったことは幸運であった。
「紙すきのうた」で主役ゆきを演じた声楽家・篠田弘美先生に音楽面の指導をいただいたこと、作曲には、児童音楽教育の一環として児童音楽劇を数多く手がけてこられた橋詰律也先生にお願いできたこと、美濃市女声合唱団に快く参加していただいたことも特筆すべきである。
美濃市在住のソリストとして、前記の「ブンナ」に出演した山口・曽我さん。今回は、家田・後藤・鈴木・武藤さんが出演している。
外部からは音楽教育者である声楽家高木先生と、美濃市女声合唱団の指揮者・加藤先生に出演を依頼した。竜神の姫には、音楽監督を引き受けていただいた、篠田先生に特別出演をお願いした。
篠田先生以外は、ソリストも、市民参加の合唱団も、音楽劇に出演するのは初めての方ばかりである。技術面だけでなく、稽古の進め方、取り組む姿勢等、多くのことを学ぶことができたと思っている。
オペラもミュージカルも稽古が実に大変である。週2日の稽古の予定が、今年になって、連日のように個人指導を受けている。
しかし、子ども達を含めて、誰一人落伍者もなく続けてこられたことが主催した側としては、なによりも感激である。
ともかく種を蒔くことはできた。いつか芽をだし枝葉をつけて、花を咲かせることができるだろうか。人口2万5千の小都市・美濃市では、現在全国から注目される、数々の文化事業を展開しているが、この音楽劇がその一翼を担うことができるだろうか、謙虚に厳しく見守り育てたいと思う。
お姫の井戸公演実行委員会

STAFF

再  話市原 三三
作曲演奏橋詰 律也
岐阜市在住。岐阜大学教育学部音楽科卒業後、教職の道に就く。そのかたわら、作曲活動も精力的に繰り広げ、ピアノ曲集や吹奏楽等の編曲も手がける。馬瀬中学校勤務時に村の祭に行われる獅子舞を学校教育に取り入れ、好評を拍す。また、馬瀬ならではの「みずき太鼓」という太鼓の演奏曲を作曲する。
「泣いた赤鬼」「龍の子太郎」「百万匹の猫」「森の詩」等、児童オペラも多数作曲している。
台本演出松岡直太郎
岐阜市在住。岐阜市民会館、岐阜市民センター、長良川国際会議場設立に参画、フリーの演出活動に入る。演劇、オペラ、日舞、洋舞と幅広く演出。国民文化祭参加オペラ「紙すきのうた」、岐阜市制作オペラ「尾なし龍」、岐阜市・美濃市・大野町合同ミュージカル「小さな虫の物語」、岐阜県民文化祭「桜咲く霞の渓の物語」等の台本・演出を手がける。
岐阜県芸術文化顕彰受賞。
音楽監督篠田 弘美
岐阜市在住。国立音楽大学声楽科卒業。高校音楽非常勤講師を経て、声楽活動に専念する。その間五十回を数えるひとりオペラ「ぞうれっしゃがやってきた」や一人オペラ「夕鶴」を自ら構成・演出・出演し注目をあびる。「ブンナよ木からおりてこい」でも3年連続して大垣公演の音楽監督・合唱指導をつとめる。
岐阜県芸術文化奨励受賞。
合唱指導加藤 秀貴
合唱指導助手武藤 純代
児童合唱指導松下 恵美
合唱振付古田さえ子・河村 優子
練習ピアノ青木 園子・鈴木恵理子・古田  縁・福田  愛
音  響古宇田 玲
照  明浅野 公藏
舞台監督冨田 茂雄・纐纈 修司
舞台美術森 サチコ
道具製作ワタナベ工芸
舞台協力綜合舞台はぐるま
衣  裳北徳
か つ ら神田かつら
着付協力小木曽利代子
結髪協力梁瀬 景子
化粧協力桐山なほ美
祭り太鼓協力常盤町自治会
紙衣裳協力MOLZA株式会社・土屋 景子・森  高子
協  力美濃市民児童ミュージカル親の会
練習会場協力美濃保育園
印刷デザイン田代智亜紀
お姫の井戸公演実行委員会
雲山 文夫・武井 初子・大谷まさ子・内木 弘文・太田 松雄・松岡直太郎
庄司 年栄・森  政治・須田 千里・森  福子・高橋 貴子

キャスト

庄屋五兵衛高木 真純岐阜市出身。岐阜北高校在学時代から声楽の手ほどきを受け、大阪大学特設音楽課程声楽科卒業、専攻科修了。声楽を故宮田和氏、市来崎義子氏等に師事。修了後は教職につくかたわら、数々のリサイタルを開催する。現在羽島市在住。
高木真純
妻  みわ家田富美子美濃市在住。聖徳学園岐阜教育大学教育学部中等教育学科音楽専攻を卒業後、教職につく。現在関市桜ヶ丘中学校勤務。美濃少年少女合唱団指揮者、コーラスあじさい指揮者など多岐にわたって音楽活動を展開、昨年の「小さな虫の物語」でも合唱指導を手掛けた。
家田富美子
娘  ちよ後藤千穂子美濃市在住。名古屋外国語大学外国語学部英米語学科卒業後、教職につく。現在洞戸中学校に勤務。これまで様々な演劇に出演。昨年公演された「小さな虫の物語」ではスズムシの妻役で出演した。
後藤千穂子
若者 与吉加藤 秀貴岐阜市在住。信州大学卒業。岐阜県職員。学生時代に信州大学混声合唱団で学生指揮者をつとめる。その後高山市在住の折にも、美濃市での合唱練習に毎週参加していた。以後指揮者としての造詣をさらに深め、現在は美濃市の女声合唱団ブリランテの指揮者をつとめる。
加藤秀貴
村の女たつ鈴木恵理子美濃市在住。名古屋市立菊里高校音楽科を経て、京都女子大学教育学科で音楽教育を専攻。卒業後はピアノ講師として多くの生徒を指導するかたわら、保育園の発表会等でのピアノ伴奏、高校合唱部の非常勤講師、合唱団のピアニスト等、多岐にわたって活躍中。
鈴木恵理子
村の女よね武藤 純代美濃市在住。名古屋芸術大学音楽学部声楽科卒。声楽を村岡利秀氏に師事。在学中からオペラ等に出演し、卒業後も華音の会に所属し様々な公演に出演している。現在は美濃市でピアノ講師としても活躍している。
武藤純代
竜神の姫篠田 弘美岐阜市民芸術祭、大垣市民芸術祭、岐阜県美術館コンサート等に多数出演。岐阜市文化センター開館十周年記念創作オペラ「原野・黄金の街へ」の主役チンツ役、日中合同オペラ「太陽をさがして」主役母親役、日中合同ミュージカル「ブンナよ木からおりてこい」母スズメ役、国民文化祭創作オペラ「紙すきのうた」主役ゆき役、サラマンカホールオペラ「メディア」メディア役、等で出演。
(特別出演)篠田弘美
村 の 男安藤  紘・市原 俊美・今井  淳・雲山 晃成・後藤 康弘・高橋 定申
陶  忠廉・長谷川洋昭
村の男
村 の 女浅野 淳子・井戸めぐみ・大谷まさ子・小酒井正子・嶋口久美子・須田 茂美
(ソプラノ)鷲見美栄子・武井美保子・成瀬 道子・吉田美智子・西出 映奈(中2)
西部美幸希(中2)・服部 由佳(中2)・古田 朋香(中2)
ソプラノ
村 の 女稲垣由紀子・岡本 益子・小木曽利代子・城戸脇純子・桐山なほ美・清水ふみ子
(ア ル ト)武井 初子・谷口 明子・辻村 英子・西部 正子・森  光子・梁瀬 景子
森下こずえ(中3)
アルト
村 の 子奥田 智勝(小6)・服部 善樹(小5)・鈴木飛羽衣(小3)・鈴木 志穏(小1)
下村 真弓(小5)・西出 未奈(小5)・山下あかね(小5)・小栗 巴羽(小4)
丹羽あかね(小4)・猿渡 真美(小3)・山下もえこ(小3)・猿渡 亜衣(小1)
村の子
(小中学生は美濃市民児童ミュージカル所属)

あらすじ

〈一幕〉
昔・昔
西の夜空に、不吉なほうき星が流れて、その日から雨が降らなくなった。
村人たちは、何度も何度も雨乞い祈願をしたが、夏が過ぎ秋になっても雨は降らなかった。
庄屋五兵衛は、途方に暮れていた。
草木は枯れ、田んぼの稲も枯れて、村の被害は増えるばかりである。集まってきた村人たちに、お上にお助け米をお願いしてあること、もう一度、村中総出の雨乞い祈願をすることを約束した。
庄屋の妻みわは、夫の心労も、間近に迫った娘の祝言のことも心配であった。庄屋の娘ちよは、隣村の与吉を愛していた。
与吉は、貧しい百姓だったが、親孝行な若者だった。
日照りのために祝言の日を変えたくないと思ったが、父からは、宴会の膳も碗も用意できない貧しい百姓が、庄屋の娘を嫁に迎えることは心苦しいと言われ悩んでいた。娘ちよは決心する。
貧しい人に、膳と碗を貸してくれると言う長良川のお姫の井戸・竜神の姫に頼むことにしたのだ。
今日も夜遅くまで、村の女たちは川の水を汲んで田畑に運ぶ力仕事をしていた。子供たちは夜まわりをして手助けしていた。
しかし、村人たつ・よねの家では、日照りのために餓死するものがでた。川上のはやり病のために川の水も飲めなくなったと言う。
天の怒りか・戒めなのか…悲痛な庄屋と村人の上にあの不吉なほうき星が光っていた。
〈二幕〉
村中総出の雨乞い祈願の夜、唄い踊る村人の中に庄屋の姿はなかった。ちよと与吉もいない。
庄屋の妻みわは不安だった。村人たつ・よねも心配してくれるが、雨乞い踊りを止めることは出来ない。暗い夜道を一人、夫五兵衛を探し続けた。
その頃、長良川のお姫の井戸に、手を合わせて祈るちよと与吉がいた。
やがて、水底から竜神の姫が現われる。
姫は、貧しくても睦まじく働くこと、井戸の水を決して汚さないこと、この約束を固く守るようにと念を押して、碗と膳を貸してくれた。
美しい膳と碗を手に、二人が家路を急ぎ去った後、思い詰めた庄屋が、お姫の井戸にやってくる。
お上からなんの沙汰もない、雨乞い祈願も届かない。井戸を汚して雨を降らせるしかないと思っていた。
駆けつけた妻みわは、竜神を怒らせたら、雨はいつ降り止むか解らない、田畑は流され、家も失うと必死に取りすがるが、庄屋の決意は固かった。
井戸を汚し、枯葉に火をつける庄屋の傍らで、妻みわは、静かに手を合わせる。
そして雨は降った。雨は烈しく降り続いた。
幾日かが過ぎ、村人たちは必死に探したが庄屋夫婦を見かけたものはいなかった。
今日も川岸で祈る村人たちの中に、ちよと与吉、村の子供たちがいた。
子供たちは、あの日、西の空に飛び去る龍を見たと言う。

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