平成7年試楽日
イメージソング合唱コンクール

出演者…合唱団指揮者
合唱団員A
合唱団員B
審査委員長
その他の合唱団員
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-指揮者登場-
指揮者 あぁ困った困った。美濃市イメージソング合唱コンクールまであと3日しかないというのに、わっちんたの合唱団はちょっとも練習会場へ集まらへん。こんなことをやっておっては、まるで東市場の仁輪加の練習と変わらへんなも。困った困った。
-合唱団員全員登場-
合唱団員A やぁやぁ指揮者の先生、やっと見つけたなも。普通、合唱の練習といったら、公民館なんかでやると思っておったんやが、今日は○○○○○(そのとき仁輪加をやっている場所)でやるっていうもんで、場所がわからずにずいぶん探したなも。
合唱団員B 本当やなも。美濃町じゅう探いて歩いたもんで、わっちゃまぁ足がパンパンやなも。
 それはすまなんだなも。ほんでもこういう夜空の下で思いっきり声を出して歌うと、気持ちがええんな。
 そんなことを言って、本当は公民館を借りる金があらへんのやねぇかな。
 そうやなも。だいたいこんな夜に外で大声を出したら、犬に吠えられるのが関の山やなも。まっとぬくとい部屋で練習をさせてくんせぇ。
 そんな弱音を言っておってどうするんじゃ。だいたい、部屋の中で練習すると、声が響くで上手に聞こえるんやなも。外でやれば自分たちの本当の声がわかるで、そうやってみっちり練習をして、3日後の美濃市イメージソング合唱コンクールではぜひ満点を取ってみせるなも。
 ちょっと先生、満点を取ってみせるてって張り切ってござるけど、先生が歌うんやねぇんやなも。メンバーの中にいかにも下手クソな仁がおるで、どんだけがんばっても、とても満点は無理なんやねぇかな。
 なにな、下手クソな仁な。それは一体うしろの列の誰やな。
 こらこら、わっちんたの合唱団にうしろの列なんてのはねぇなも。
 ほんならああしてズラッと並んでおるのはどういう仁たやな。
 あれはなも、合唱団がいかにも大勢に見えるようにした背景やなも。普通の芝居ならベニヤ板に絵の具で書くんやけど、わっちゃベニヤ板や絵の具を買う金がねぇもんで、東市場の人に頼んでああやって立ってもらっておるんやなも。
 なるほど、あれは背景のかわりやったんかな。背景やとすると、あの仁たはセリフもねぇんかな。
 その通りやなも。
 そら楽でええこっちゃなも。ほんでもあんだけ割烹着を揃えるほうが、ベニヤ板よりよっぽど金がかかるような気がするなも。
 おまはんはそういう余分なとこだけよう気がつくんやなも。
-審査委員長登場-
審査委員長 おいおい、そんなくだらんことを言っておらずに、もっとちゃんと練習をしなあかんやねぇかな。
 あ、誰かと思ったら今度の合唱コンクールの審査委員長さんやねぇかな。一体何の用やったな。
 実はなも、合唱コンクールに参加するグループの練習を激励に回っておるんやが、おまはんたの練習しとる場所を探すのに往生したなも。美濃町じゅう探して歩いたもんで、わっちゃまぁ足がパンパンやなも。
 ちょっと審査委員長さん、それは最初のわっちのセリフと同じやなも。あんまりまぎらわしいセリフにすると、仁輪加がもとに戻ってまうでやめてくんせぇ。
 それはすまなんだなも。ほんでもこういう夜空の下で思いっきり声を出して歌うと、気持ちがええんな。
 おまはんまでさっきと同じセリフを言ってどうするんや。ところで審査委員長さん、わっちんた美濃市のイメージソング合唱コンクールでなんとかして優勝したいんやけど、どういうところに気をつけて練習したらええか、教えてもらうわけにはいかんやろうかな。
 審査委員長がそんなことを喋るわけにはいかんのやけど、寒いとこで練習しておるおまはんたのことやで、小さな声で教えたるなも。
 小さな声ではお客さんが聞こえんで、大きな声でたのむんな。
 優勝の秘訣はなも、百点の満点を取ろうと思ってはあかんなも。
 なにな、わっちんた百点満点を目指して練習しておるのに、取っちゃあかんのなら、一体何点ぐらいを目標にすればええんやな。
 そうやなも、美濃市のイメージソングを歌うんやで、せいぜい十点取るか取らんかぐらいやなも。できれば十点より少し低いのがベストやなも。
 それはまた低い点数やなも。もしかしてわっちんたをだまそうとしておんさるんやねぇかな。
 審査委員長を疑っちゃあかんけど、それにしても嘘のような話やなも。百点満点のうちの十点も取らずにおっても本当に合唱コンクールに優勝できるんかな。
 他の人ならともかく、審査委員長のわっちが言っておるんやで、間違いはねぇわな。
指AB そらまたどうしてやな。
 さぁ、美濃市のイメージを歌うならなぁ。
指AB どうじゃな。
 無理に飛躍(百)をねらわずに、経済の急転(九点)と美濃市の発展(八点)が大事じゃわな。
エッキョー

作者のつぶやき バーベキュー用の紙エプロンを着て、紙皿を頭に乗せてドリフの合唱隊っぽい衣裳にしてみました。でも全員が舞台に出てしまうと、“エッキョー”の後の大太鼓を叩く人がいなくなってしまうのでした。

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平成7年本楽日
パネルディスカッション

出演者…美濃市助役
総山孝雄
入船亭扇治
海部幸代
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-美濃市助役登場-
美濃市助役 今日は美濃町まつりを記念して、東京で暮らしておんさる『美濃特派員』の人達に集まってもらい、美濃町の活性化についてパネルディスカッションをしてもらいたいと思います。観客の皆さん、よろしくお願いいたします。わっちは進行役の美濃市助役、キーチャン田中やで、よろしく頼むんな。
-総山孝雄登場-
総山孝雄 ちょっと待ってくんせぇ。パネルディスカッションの進行役はわっちにやらせてもらえんかな。
 これこれ総山さん、まんだ紹介もしとらんのに出てきてもらっては困るなも。
 ほんでもわっちの弟は港町で天心堂をやっておるでなも、司会(歯科医)のことならまかせてくんせぇ。
 そんなしょうもないことを言いに出ておんさったんかな。ほんならあとで順番に紹介するまで後ろのほうで待っておってもらえんかな。
 そうかな。そんなら待たせてもらうけど、今日はどうして市長さんが出ておんさらへんのやな。
 実はなも、3年前の仁輪加で『美濃市助役キーチャン田中』とか『助役とはスケベな役人のことや』とか言っておったら、本人が気にしやしてなも、わざわざ台本をもらいにござったもんで、まぁいっぺん仁輪加に出したろかしらんと思ったわけやなも。
 そういうことやったんかな。ようわかったなも。ほんならパネルディスカッションを始めてくんせぇ。
-入船亭扇治、海部幸代登場-
 それでは残りのパネリストの仁も出てきてもらえんかな。順番に紹介さしてもらうなも。まず、さっき呼びもしんのにでてござったのが総山孝雄さん。港町出身、東京で歯科学会の会長とか、大学の名誉教授をやっておんさる仁やなも。
 よろしく。
 それから次の人が、入船亭扇治さん。東市場出身で本名は児山智明さんというんやなも。落語家をやっておんさる仁やなも。
入船亭扇治 よろしく頼むんな。
 最後に海部幸代さん。皆さんもよう知っておんさるように、本住町出身で新進党の海部俊樹元総理の奥さんやなも。
海部幸代 海部です。よろしく。
 それでは美濃町の活性化のためにはこれからどうしてったらええか、一人ずつ意見を言ってくんせぇ。
 今はなも、よその市町村に負けるな負けるなてってナントカ日本一で町おこしをやる所が多いけど、わっちはそれには反対やなも。よその所と比べて勝った負けたと言っておっても、町の活性化にはならんのやねぇかな。
 ほんならどうしやええんやな。
 勝ち負けにこだわらずに、マイペースで行かなあかんと思うなも。どっちかというとよそに負けるくらいのほうがええなも。
 おまはんの言いたいことはだいたいわかるなも。弟さんが天心堂歯科やで、敗者(歯医者)になれって言いたいんやねぇかな。
 おまはん、ようわかったなも。
 さすが落語家をやっておんさるだけのことはあるなも。ほんなら次は入船亭扇治さんの意見を聞かしてもらえんかな。
 わっちは税金なんかのお金を全部銀行振替にしてほしいなも。
 それはまたどういうわけやな。
 今は自治会で集めたりしておんさるところが多いんやけど、組長さん達がなかなか大変やという話やし、お金を持っておんさるのに税金を払ってくだれんという話も聞くで、電話料やNHKの受信料みたいに銀行から自動的に払ってくれたら、市役所の職員ももっと減らせると思うなも。
 そういう制度はちゃんとあるんやけど、納税組合というのも昔からある仕組みやで、なかなか無理に銀行振替にしてもらうわけにもいかんのやなも。
 大丈夫やて。わっちが頼みに行けばみんな銀行振替にしてくだれるで、なんとかがんばってくんせぇ。
 おまはん、妙に自信たっぷりに言わっせるけど、一体どういうわけやな。
 わっちは落語家やで、高座(口座)で落とすことはプロやなも。
 何や、結局それが言いたかったんかな。まじめに聞いて損したなも。最後に海部さん、おまはんの意見を聞かしてくんせぇ。
 わっちは美濃町の活性化のためには、もっと外国との交流を増やさなあかんと思うなも。
 やっとまともな意見が出てきたなも。ほんでも中国の人と紙すきの交流をしたり、ロータリークラブの人が交換留学生を世話したりと、今でもずいぶん交流しておるなも。
 いや、それではごく一部の人だけの交流になってまうで、もっとみんなが外国に親しめるような交流の仕方が必要やなも。わっちが一番大事やと考えておるのは、外国の本をもっともっと日本語に直して図書館に並べることやなも。
 そんなもん、グリム童話からシドニィ・シェルダンまで揃っておるで、こんだけあったら十分やねぇかな。
 そうやて。そんな外国の本を読むくらいなら、もっと日本の古典芸能、落語を聞いてほしいなも。
 美濃町では去年あんだけ大々的に市制40周年記念をやっておんさったんやろ。ああいった市民総参加の行事をやれば間違いなく美濃町の活性化につながるんやねぇかな。
 そうは言いんさるけど、外国の本を日本語に直して読んだからといって、それが活性化につながるとは思えんなも。
 いやいや、去年の40周年記念行事であんだけ盛り上がったんやで、今年は外国の本を取り入れたら絶対に大丈夫やわな。
助総扇 そらまたどうしてやな。
 さぁ美濃市も40年を過ぎたらなぁ。
助総扇 どうじゃな。
 今年は本厄(翻訳)の年やわな。
エッキョー!

作者のつぶやき 落しはたいしたことないけど、途中のクスグリはなかなかなもんだと自画自賛。でもこの日は雨で仁輪加が中止になって、結局この台本はおクラ入りでした。

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