(津羽木さん、萩本さん登場)
津羽木さん 困った困った。仕事も選挙も祭りもあって……
萩本さん ちょっと、一人でブツブツしゃべっておんさるのは(サルビア)、選挙管理委員の津羽木(椿)さんやねぇかな。一人でなんの話(菜の花)しをしておんさるんや。
津 やぁ、これは錦御荘(金魚草)の二階におんさる萩(萩)本さんやねぇかな。おまはん、わっちの話を聞く(菊)時間はねぇかな。
萩 わっちゃ暇やで(ひまわり)時間は充分余ります(アマリリス)。
津 実はなも、県議会の選挙は無投票で決まってまったけど、市議会は投票がありそうやなも。ところが美濃町の人んたぁは祭りで燃え尽きてまって選挙のことなんかかすみそう(霞草)で、投票率もおじぎしそう(御辞儀草)やで困っておるんやて。
萩 そうかな。選挙管理委員のおまはんがバラ(薔薇)バラなことをやっておるであかんのやわ。
津 決まってまったもんはしかたがねぇで助けてくんせぇ。
萩 そんならせっかく(石斛)やで、うめ(梅)ぇこといかんか、占い師の佐倉(桜)さんに聞いてみよめぇ。
津 そうやなも。…ごめんやす……おかしいな、留守やろうか。
萩 そんなはず(蓮)はねぇて。きょうの朝、顔(朝顔)をみたんやけどなぁ。まぁいっぺん、呼び鈴の(竜胆) ボタン(牡丹)を押してみんせぇ。
津 ピンポン(金柑)、ごめんやす。
(佐倉さん登場)
佐倉さん 誰や(ダリヤ)。これは津羽木さんと萩本さんかな、一体どうしたんや。
津 カクカクシカジカというわけで、おまはんの占いで勘考してもらおうと思っと(万年青)るんやなも。
佐 そんな大事(デイジー)なことをわっちの占いで決めるんかな。よっしゃ、それならさっそく…
萩 なんかわかったかな。
佐 そんなすぐにはまだわからん(蘭)。まっと頭を冷やしんせぇ(ヒヤシンス)。
萩 それはどうもすい(菫)ません。
津 萩本さんもまぁちょこっと(マーガレット)待つわ(松葉)な。
佐 そうや!有名人に選挙のPRをしてもらったらどうや。
萩 有名人って、おまはんは誰を推薦(水仙)しんさるな。
佐 そら、美濃町出身の野口五郎がええなも。
津 野口五郎なんて、みんなもう忘れたやろ(勿忘草)。
萩 それにいくら美濃町出身てっても、やくやく(芍薬)そんな昔のアイドルではピンとこんなも。
佐 そんなことはねぇて。今もミュージカルでパンチ(パンジー)のあるコブシ(辛夷)のきいた歌を聞かせるんな。それになんといっても結婚して愛妻(紫陽花)がおるでなも。
津 選挙と結婚が関係あるんかな。そんな見当(鶏頭)ちがいの占いではあかんなも。
佐 いやいや、野口五郎が奥さんと選挙のPRに来てくれや、絶対に大丈夫やて。
津萩 そらまたどうしてやな。
佐 さぁ花づくしのことならなぁ。
津萩 どうじゃな。
佐 ゆり(百合)と帰郷(桔梗)して選挙に花が咲くわな。
エッキョー
作者のつぶやき ネタは私の作品じゃないです。でも、最終的な台本に仕上げたのは私なので、ここに載せておきます。とかなんとかいって、この日は雨だったのであまり人目に触れない作品になってしまいました。
(リヤカーのカゲで)
司令官 整列!前へ進め!
(司令官を先頭に一列で登場)
中隊長A 司令官、第一中隊全員集合したんな。
中隊長B 司令官、第二中隊全員集合したんな。
司 よし、休め。これで首都防衛隊は揃ったな。これから命令を言うで、そのまま聞け。いよいよアメリカ軍が首都バグダッドを占領したげな。そこで我々首都防衛隊は、イラク軍の名誉にかけてまあいっぺんバグダッドの町を取り返さなあかん。
A そんなこと言われてもフセイン大統領はおらへんし、ティクリットもほったらかしやてってCNNで言っちょったなも。
B それにサアディ大統領補佐官も投降してまって、まぁバグダッドも取り返しようがねぇなも。
司 たわけたことを言うな。我がイラク軍は世界で一番強いんや。いざとなったら自爆テロでやっつけるんや。
A けどわっちゃ自爆はいややなも。おまはんが自爆しんせぇ。
司 こら、おめぇは司令官に向かってなんて口のききかたや。自爆できんとはイラク兵のくせに信仰が足らん。お、ちょうどお祈りの時間になったぞ。
(司令官は布を敷いてひざまずく、そのほかは全員数珠を出して合掌する)
司 ちょっと、おめぇんたは神様にお祈りをするんやねぇんか。
B わっちんとこは先祖代々曹洞宗やでなも。
A わっちんとこはお東さんやなも。
司 つべこべ言わずにコーランを持ってこい。これは命令や。ほれ見よ、たわけたことをしとる間にお祈りの時間が終わってまったやねぇか。ほんなら作戦どおり戦闘配置につけ。
B 司令官、わっちんたはさっきバグダッドを取り返せといわれただけで、まんだどういう作戦か教えてもらっちょらんなも。
司 そうやった。我々首都防衛隊の作戦は、バグダッドを取り返すために町の中で戦ってはいかん。町の中で戦えば一般市民の犠牲も増える。
A なるほど、確かにそうやなも。ほんなら戦闘配置はどうしたらええんやな。
司 そこで隣のクウェートからどんどん油を持ってきて町じゅう油だらけにする、これがおめぇらの戦闘配置や。
B ちょっと待ってくんせぇ。そんなことしたら、ちょっと空爆されただけで火がついてまうなも。
司 そういう危険はあるけど、バグダッドを取り返すための作戦やですぐとりかかれ。
A たしかに戦車や飛行機の燃料はいるけど、町じゅう油だらけにしたって戦いは防げんのやねぇかな。
司 いや、油だらけにしや町の中での戦いは絶対に防げるわな。
AB そらまたどうしてやな。
司 さぁオイルを使えばなぁ。
AB どうじゃな。
司 市街戦(紫外線)を防げるわな。
エッキョー
作者のつぶやき この台本を作った土曜日は、まだ米軍はバグダッド手前でした。だから首都防衛隊が登場してバグダッドを守りぬくという台本だったのに、火曜日にはもう占領されちゃって頭を抱えました。激励に来てくれたOB(仁輪加連盟会長)も困って“もう途中でこの台本は一週間前に作ったでなもてって開き直るしかない”というアドバイスでしたが、そんな逃げ方はイヤだったので多少の無理を承知で首都防衛隊がバグダッドを取り返す筋に変えました。とはいえ、その台本を仕上げたのは本番2時間前。よく役者が対応してくれたものです。連盟会長も表彰式の席上でわざわざ誉めてくれました。