日本政治総合研究所設立趣意書(昭和50年10月)

〔設立の目的〕
 政治は「未来の選択」の行為であり、議会制民主政治が健全なかたちで運営できるかどうかは、わが国の将来を左右する重大事だといえましょう。
 幸いにして、戦後30年間、われわれは日本における議会制民主政治を育成してくることに成功いたしました。
 しかし、日本の議会制民主政治は、政党間の、政権交替の欠如から生じた政党の責任感の希薄性、政党の政権立案能力の不足等、いくつかの弱点も保持しております。
 しかも、わが国は、高度成長から福祉充実への政策的転換、生活環境の悪化から都市住民を守る都市政策の確立、民主政治の将来を形成する選挙制度の改善等、緊急に解決しなければならない数多くの問題に直面しており、これらの問題の解決のためには、一層高度な政策形成力と責任制を議会政治が示すよう要求されております。
 このような状況の中で、わが国に政党、選挙、地方自治等、議会政治の根本問題を真面目に研究する独立機関の存在しないのを残念に思い、「日本政治総合研究所」設立が企図されました。「日本政治総合研究所」は、この設立の趣旨にそって、現実政治と学問との間にたって、非営利的、純学問的研究機関として、日本の議会制民主政治の研究を目指す所存であります。
 また、わが国議会制民主政治の研究の立ち遅れは、同時に、わが国議会政治が世界各国に十分理解されていない原因ともなっていることを考慮して、「日本政治総合研究所」は、日本の議会制民主政治の正しい姿をできる限り広く諸外国に伝えるよう国際交流にも努力いたします。
 「日本政治総合研究所」は、このような活動を通して、日本の議会政治発達に貢献できれば幸いだと考えます。

役員名簿
会長 白鳥 令 (東海大学)
所長  飯塚繁太郎(日本大学)
運営委員 青木 一能(日本大学)
宇治 敏彦(東京新聞)
片岡 寛光(早稲田大学)
黒川 修司(横浜市立大学)
河野 武司(杏林大学)
阪上 順夫(松阪大学)
千田 恒 (東海大学)
富澤 秀機(日本経済新聞)
富田 信男(明治大学)
冨森 叡児(東海大学)
中野 実 (明治学院大学)
前田 一郎(NHK)
監事   渡部 喬一(弁護士)
事務局長 菊池 いづみ
〔事業の内容〕
 上記の目的を達成するため、次の事業を行います。

   □わが国政治の理論的・政策的研究
   □議会政治推進のための啓発事業
   □若手研究者の育成と研究の助成
   □わが国政治の正しい姿を外国に伝えるための国際交流

政治問題研究会

 経済界、言論界、学会の有志による日本の政策的課題を率直に話し合う懇談会で、毎回政界の指導的立場にある方々、あるいは政治の領域における著名な専門家をゲストに招いて、朝食をともにしながらインフォーマルな雰囲気の中で自由に意見の交換を行うことを目的とした研究会です。

日本政治研究セミナー
(Japan Political Studies Seminar)

 日本の政治は非合理的でわかりにくいとの在日大使館員や在日外国人ジャーナリストの声に応えて、日本の指導的若手政治家たちの意見をわかりやすいかたちで提供しようという討論形式のセミナー。各国大使やジャーナリストたち30名あまりが出席している。



日本政治総合研究所 (IPSJ)
151-0066 東京都渋谷区西原1-35-15−304
TEL 03-3460-2392
FAX 03-3465-4942