西南日本の熱き戦い!?(1万2000年前)

環境考古学事始(安田善憲著)より作成
植生 生息したと思われるクワ・カブ
ツンドラ 生息しない
森林ツンドラまたは亜寒帯針葉樹林
生息しない
冷温帯落葉広葉樹林(ブナ・ミズ
ナラなど)と針葉樹林

オオ、ヒメオオ、ミヤマ、ノコ、アカアシ、スジ、コ、カブトなど
暖温帯落葉広葉樹
(クヌギ・コナラ・クリなど)
オオミヤマ、ノコ、ヒラタ、スジ、コ、カブトなど
常緑広葉樹林(照葉樹林)
(シイ、カシ、タブなど)
オオ、ヒラタ、ミヤマ、ノコ、スジ、コ、
カブト
など
寒い氷期も終わりに近づき気候が温暖になってくると、九州・四国・本州の海岸沿いに常緑広葉樹
が勢力を伸ばしてきました。また、「夏は暑すぎてブナが生えず、冬は寒すぎてシイ・カシが生えに
くい地域」が生じて、そこはクヌギ・コナラなどの暖温帯落葉広葉樹が優勢になったと考えられます
(図の青い部分)。まさに、「クワ・カブにとってのパラダイス」が出現したといえるでしょう。
この西南日本を戦場として、それまでのシイ・カシ帯から進出をたくらむヒラタを中心とする勢力と、
すでに広い植生に適応していたノコ、ミヤマを中心とする勢力がぶつかり、激しい生存競争が繰り
広げられたことでしょう。
そして見事戦いに勝利したのは、おそらく大型のヒラタクワガタ軍団と思われます。現在、九州西
北部や瀬戸内沿岸地域では東日本よりはるかに大型ヒラタの生息密度が高いというデータが、
この出来事を物語っているのではないでしょうか。
常緑広葉樹の代表選手たち
落葉広葉樹のクヌギ・コナラとおなじブナ科の樹木も多い。分布地域(北限)は現在のもの。
▲スダジイ(ブナ科)
丘陵地にも多い佐渡や福島県
の太平洋側が北限。
▲マテバシイ(ブナ科)
関東以西の太平洋側に分布。
▲タブ(クスノキ科)
平地や海岸沿いに分布
北限は岩手県中部。
▲クスノキ(クスノキ科)
関東南部以西に分布。
▲ウバメガシ(ブナ科)
関東南部(三浦半島?)以西の
海岸沿いに分布。
▲アラカシ(ブナ科)
西日本に多い。シイより標高が
高いところに分布。
黒潮の影響が強い太平洋
岸は、氷期の終わり頃から常
緑広葉樹の原生林になった。
(写真は伊豆半島南部)
では、現在より温暖だった「6000年前の世界」はどうだったのでしょうか?
次回…ヒラタVS.ノコ「川中島の戦い」につづく