クワガタやカブトムシの分布は、気候や樹木の分布と深い関係があり、
気の遠くなるような長い時間をかけて変化してきました。
また、人間が増えて原生林を切り、里山や雑木林をつくったおかげで、
「クワ・カブの生活の場」も増えてきました。
ここでは、最後の氷期である2万年前から現代までのクワ・カブの足跡を
大河ドラマ風?に想像をたくましくしながら展開してみようと思います。
きちんと研究しているわけではありませんので、遊び半分の部分もありますがご容赦を。
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まず、現在の植生とクワガタやカブトムシの分布を比べてみましょう!
ここでいう植生とは「自然植生」で、人間がまったく手を入れていない場合に分布する代表的
な樹木といえます。ちなみにクヌギ・コナラの雑木林は、下の図で黄緑で表されている「常緑
広葉樹の原生林」を人間が切り開いて作ってきたものです。
植生 生息するクワ・カブ
亜寒帯針葉樹林(エゾマツなど) 生息しない
亜寒帯針葉樹(エゾマツなど)と広葉樹
(ミズナラ、イタヤカエデなど)の混交林
ミヤマ、ヒメオオ、ノコ、アカアシ、コ、
スジなど
冷温帯落葉広葉樹林
(ブナ、ミズナラ、クルミなど)
オオ、ヒメオオ、ミヤマ、ノコ、アカアシ、
スジ、コ、カブトなど
常緑広葉樹林(照葉樹林)
(シイ、カシ、タブなど)
オオ、ヒラタ、ミヤマ、ノコ、スジ、コ、
カブト
など
温室のような亜熱帯照葉樹林から、四季のある日本列島へ!
東南アジア方面から日本列島へ来た彼らは、四季(温度差)のある気候に適応しながら北上していきました。その中で、広葉樹林を追いながらいちばん北(北海道)までたどりついたのが、ミヤマを代表するグループです。オオクワは北海道南西部のブナ林まで生息しているようですが、カブトは本州までしか北上できませんでした。そして、国産普通種の中でいちばん寒さに適応できず、常緑広葉樹とほぼ同じ範囲で生息するのが、ヒラタといえるでしょう。
では、生物の長い進化の歴史ではごく最近、といえる2万年前はどうだったのでしょうか?
敵は寒さ! 南へ全員退避せよ!
約百万年前から、4回の氷期と暖かい間氷期を繰り返してきた地球。最後の氷期でいちばん寒くなったのが、いまから2万年前でした。年平均気温は現在より約7℃低く、東京のあたりはちょうど現在の札幌、九州は東北地方のような気候だったといわれています。常緑広葉樹は九州の南にまで退き、ヒラタもそれを追うように南下していったでしょう。しかし、黒潮洗う本州の南岸にはピンポイントで常緑樹が寒さに耐えて残った場所があり、そこで生きのびたヒラタもいたとも考えられます。
植生 生息したと思われるクワ・カブ
ツンドラ 生息しない
森林ツンドラや亜寒帯針葉樹林
生息しない
冷温帯落葉広葉樹林(ブナ・ミズ
ナラなど)や針葉樹林

オオ、ヒメオオ、ミヤマ、ノコ、アカアシ、
スジ、コ、カブトなど
常緑広葉樹林(照葉樹林)
(シイ、カシ、タブなど)
オオ、ヒラタ、ミヤマ、ノコ、スジ、コ、
カブト
など
では、氷期が終わるころ、1万2000年前はどうだったのでしょうか?
「西南日本の熱き戦い!?」につづく