ごあいさつ本日は、創作音楽劇「お姫の井戸」公演に多数お越しいただきありがとうございます。
この音楽劇は、市内長良川の「お姫の井戸」にまつわる説話を題材にして音楽劇として創作されたもので、ふるさとに伝わる物語がこのようにして再認識されることはたいへん有意義なことであります。 平成十四年度に初演をされた創作音楽劇「お姫の井戸」ですが、今回は台本も作曲も一新し、主要キャストも市民により上演されると聞きました。これは長年にわたって活動を続けてこられた市民の方々の市民力、わけても文化力が向上していることの証であり、先般、中国杭州市人民政府より「友好交流特別貢献賞」が贈られたのも、こういった活動が国際的に評価されたものです。 二十一世紀に入って、自然と調和しながらスローでゆっくりゆったり、人生を豊かに楽しみながら暮らすという生活スタイルが求められています。美濃市では、スローライフを楽しむために、人の心の豊かさや生活の潤いのある「住みたいまち 訪れたいまち 美濃市」を目指しています。市民一人ひとりが生きがいと自らの文化力を高めるために、それぞれの創造性を発揮できる環境を整えることが重要ですし、市民参加による芸術や文化といった分野での裾野づくりがなお一層大切なことと考えております。 最後になりましたが、演出を担当くださる松岡直太郎先生がこのたび文部科学省「地域文化功労者表彰」を受章されました。心からお祝いを申し上げます。なお、この公演に関しいろいろとご尽力をいただきました関係者の皆さま方に対しましても心から敬意と感謝を申し上げると共に、今回の公演が盛大に開催されますことをお慶び申し上げ、ご挨拶といたします。 平成二十一年十二月十九日 美濃市長 石川道政
プロフィール
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あらすじ〈一幕〉
昔・昔 西の夜空に、不吉なほうき星が流れて、その日から雨が降らなくなった。 村人たちは、何度も何度も雨乞い祈願をしたが、夏が過ぎ秋になっても雨は降らなかった。草木は枯れ、田んぼの稲も枯れて、村の被害は増えるばかりである。 庄屋五兵衛は、集まってきた村人たちに、お上にお助け米をお願いしてあること、もう一度、村中総出の雨乞い祈願をすることを約束した。 庄屋の妻さわは、夫の心労も、間近に迫った娘みよと隣村の与吉との祝言のことも心配であった。 与吉は、貧しい百姓だったが、親孝行な若者だった。そんな与吉を、みよは愛していた。 与吉は、父から、宴会の膳も椀も用意できない貧しい百姓が、庄屋の娘を嫁に迎えることは心苦しいと言われ悩んでいた。 みよは決心する。 貧しい人に、膳と椀を貸してくれるという長良川のお姫の井戸・竜神の姫に頼むことにしたのだ。 今日も夜遅くまで、村の女たちは川の水を田んぼに運び、子どもたちは夜まわりをして手助けしていた。 しかし、村人の家では、日照りのために餓死するものがでた。川上のはやり病のために、川の水も飲めなくなったと言う。 天の怒りか、戒めなのか…悲痛な庄屋と村人たちの上に、あの不吉なほうき星が光っていた。 〈二幕〉 村中総出の雨乞い祈願の夜 唄い踊る村人たちの中に庄屋の姿はなかった。 さわは不安だった。 村人も心配してくれるが、雨乞い踊りを止めることはできない。暗い夜道を一人、夫五兵衛を探し続けた。 その頃、長良川のお姫の井戸に、手を合わせて祈るみよと与吉がいた。 やがて、水底から竜神の姫が現われる。 姫は、貧しくても睦まじく働くこと、井戸の水を汚さないこと、この約束を固く守るよう念を押して、膳と椀を貸してくれた。 美しい膳と椀を手に、二人が家路を急ぎ去った後、思い詰めた庄屋が、お姫の井戸にやってきた。 お上からなんの沙汰もない、雨乞い祈願も届かない。井戸を汚して雨を降らせるしかないと思っていた。 駆けつけたさわは、井戸を汚して竜神が怒れば、雨はいつ降り止むかわからないと、必死に取りすがる。 庄屋の決意は固かった。井戸を汚し、枯葉に火をつける夫のかたわらで、さわは、静かに手を合わせる。 そして雨は降った。幾日も雨は烈しく降り続いた。田畑は流され、家も失ったが村人たちは助かった。 しかし、庄屋夫婦を見かけたものはいなかった。 今日も川岸で祈る村人たちの中に、みよと与吉、村の子どもたちがいた。 子どもたちは、あの日、西の空に飛び去る龍を見たと言う。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キャスト
スタッフ
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