花みこしの作り方
最初にお詫びがあります。このページのタイトルは“花みこしの作り方”ですが、みこし本体を作るには宮大工さんのように専門の技能を持った人でないと手におえません。そこでここでは“花みこしの花の作り方と組み立て”の説明だけといたします。悪しからずご了承ください。
立春を過ぎるとだんだんと花みこしの準備が始まってきます。そんななかで住民のほぼ全てが関わるのがこの花つくり。神事であるみこしは、女性が担ぐことができません(この件は後述)。しかしこの花つくりは手先の器用さと根気が必要なため、女性が大活躍します。結婚などでみこしのある町内へ入ってきた女性は、こよりの撚り方から練習しなければなりません。
材料
- 紙
- 長さ6寸弱、幅5分~8分くらいの細長い台形をした薄紙と3寸×4寸くらいの薄紙の2種類。
- 竹
- 幅3分くらいに割った竹で長さは15尺、12尺、9尺、7尺の4種類程度。
- 紙テープ
- 文房具屋さんで売ってる緑色の紙テープ。
- のり
- 昔ながらのでんぷんのり(洗濯のり)が適している。
手順
- 細長いほうの薄紙を使って“こより”にします。このとき最後まで巻かないで少し残しておき、旗の形を作ります。これが花のひとつひとつの茎になります。
- 四角いほうの薄紙はあらかじめピンクに染め、中央に穴をあけておきます。この紙を2枚互いに斜めに組み合わせ、中央の穴を揃えます。これが花びらです。その穴に1.で作った“こより”を通し、旗の部分と花びら、2枚の花びらどうしをのりづけします。これを私の町内の場合で1軒に約500組程度作ります。
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- 竹に緑の紙テープをらせん状に巻きつけながら、2.で作った花の茎をはさみこんでいきます。この作業を“花巻き”といいます。このときなるべく花のすぐ下のところまではさまないと、枝垂れ桜のようになってカッコ悪いです。こうして1本の竹に花をつけたものを“しない”といいます。私の町内では、各家庭で花づくりを行ない、まつり3週間前の日曜日に全員が集まって“花巻き”をします。
- まつり直前の金曜日、朝9時頃から最終組立作業にとりかかります。花みこしの天頂には、鳳凰のかわりに“しない”を固定するための金属の台座が取り付けてあり、そこに中心部は短い“しない”、外周部に向かうほど長い“しない”を固定していきます。
- 最終的に大人みこしで約300本、子供みこしで約50本の“しない”を取りつけ、3色の縄で飾り、御幣をつけ、みこしを担ぐための外枠“長柄”に紅白のサラシを巻いてできあがり。平日ですが、みこしをじっくり観察できるチャンスなので、見学にお越しください。
ただし、町内によっては“花巻き”まで各家庭で行なったり、まつりの1週間前にみこしを組みたてたりするところもあります。
みこしと女性について
女性の性自体がけがれたものとする封建的な考えから、移動神殿であるみこしを女性が担げなかったものと思います。しかし現実問題として、開放的な気分になる祭礼の折に男女が入り混じってみこしを担いでいたのでは風紀上まずいと考えたほうがよいでしょう。
どうしても花みこしを担ぎたいという女性が町内を超えて集まり、“め組”として女性のみの花みこしを担いでいます。まだ神前での拝礼には参加していないなど、他の花みこしに並んだとはいえないかもしれませんが、華やかさで注目度は高まっています。