湖水地方〜アイルランド旅行記


 実は、英国は今回で3度目なのです。1992年に夫と行ったトールキン巡礼の旅、1996年クリスマスからお正月に行った冬の旅、そして今回。
 そう、はっきり言って、私は英国にはまっています。周りの人は、「何がそんなにいいの?」と言いますが、一言で答えるならば「そこに流れている空気が心地好い。」とでもいいましょうか・・・「斜陽の国」なんて言う人もいますが、古いものをとことん大切にする文化、これは魅力的です。英国の人々に対する私の印象は、「質素・堅実・地味」というものですが、そこには、物質より精神を重んじる生き方を感じます。そういう生き方に誇りを持ち、流されない、そんな力強さも感じます。
 さて、そろそろ本題にはいりましょう。
 今回は、ハドリアン・ウォール、湖水地方、ダブリンがメインです。
 さっそくヒースロー空港到着、といきたいところですが、その前に特筆すべきことが一つ。なんと!行きは英国航空のイグゼクティブクラス(もちろん、エコノミーの料金)、全てがゴージャスで夢のような12時間半でした。(ああ、小市民の私…)

ロンドン
 ロンドンでは、本屋さん巡りが楽しみのひとつですが、夫へのお土産として、トールキン関係の本を購入するという目的もあります。今回も、いくつか買ってきました。
 ショッピングにはあまり興味のない人間なので、ロンドンでの1日は、行き当たりばったり。でも、バッキンガム宮殿は正解でした。この世のものとは思えないような豪華絢爛な内部、実際にここで暮らしている人々がいるというのも、驚きです。(どこまでも小市民な私…)英王室って金持ちなのねぇ。ウィンザー城の修復費用なんてすぐ出るでしょう、この調子でいけば。

ハドレアン・ウォール(英国版万里の長城)
 ユーストン駅から、鉄道でカーライルへ。IRAの爆弾テロ対策で駅のロッカーは使用禁止でした。ちょっと怖いです。ツアーはなく、路線バスでバードスウォルドまで40分、比較的保存状態の良い所だそうだが、それでも、だいぶ朽ちていました。交通の便は良くないのですが、遠くローマ帝国の時代をほんの少し体験できたことと、羊に追っかけられたこと(?!)がなかなかでした。カーライルは本当に素敵な街で、大好きになりました。

湖水地方
 英文学にはあまり詳しくない私が、ワーズワースを生み、ベアトリクス・ポターが描いた「ピーターラビット」の故郷でもあり、シャーロット・ブロンテにも影響を与えたこの地に行くということは、夫の目には不思議な事に映ったようですが、とにかくこの景色を体験したくて訪れました。
 1日目は現地ツアーを利用して名所を満遍なく回り、2日目はのんびりとウインダミア湖を観光船で南下し、蒸気汽船博物館を見学(実は、道を間違え随分歩いた。でも、おかげで、楽しい経験ができた。)バスでコニストン湖を目指しましたが、大幅に遅れておまけに雨。雨の中の景色も素晴らしかったので良しとしましょう。ナショナルトラストの手で大事に残されているこの地方の自然は、これから先も変わることはないでしょう。

ダブリン
 国鉄でホーリーヘッドへいき、フェリーでアイリッシュ海を渡りました。クルーからホーリーヘッドへ行く列車は、まるでお盆の帰省ラッシュのようで、混雑していて、蒸し暑くじわじわと汗がでてきました。英国でのアイルランド人の地位は決して高いものではないということを、本で読んだことがありますが、列車内の人々の服装や様子からそれを窺い知ることができました。
 巨大なフェリーの中は、バーあり、ゲームコーナーあり、子供の遊び場あり、カジノまであって退屈する間もなく到着です。船内でアイリッシュポンドに両替することも忘れませんでした。
 ダブリンの街は、人だらけ。オコンネル通りは車も多く、ほこりっぽくてコンタクトレンズ装着者の私は満足に目を開けてはいられないという悲惨な状態でした。でも、活気があって、エネルギッシュでとても元気な街です。
 アイルランド人はお酒好き。パブは昼間っからビールを飲む人で賑わい、夕方6時を過ぎる頃にはどのパブも大混雑。満員電車のような状態で、立ってビールを飲む人、人、人。
 身長150センチそこそこの私では、カウンターまでたどり着けないと思い、パブでビールを飲むのは諦めました。それでも一応、ギネスビールは飲んでみました。まずまずでした。道には、深夜(というより明け方)まで、飲んで騒ぐ人たちがいて、実に賑やかでした。神経質な人だときっと、睡眠不足になったでしょう。
 ニューグレンジ古墳へ行こうとバスターミナルへ向かいましたが、ここで大失敗。時刻と乗り場を間違え、1時間ものロスタイムでした。(とはいえ時間つぶしに入った店がなかなかだったので○。)ドロヘダでバスを乗り換え、ビジターセンターへ。残念ながら時間がなく遠くから眺めるだけになってしまいました。
 アイルランドは魅力的な国です。次回の私の旅は多分アイルランド1周になるのではないかと思います。

 なお、この旅行のちょっとした写真がこちらでご覧いただけます。