2009年5月1日 |
東京23区には、緑地や公園が多い。
植栽ではなく、雑木林や屋敷林が由来の緑地では、運が良ければクワガタを観察できる。
武蔵野台地の縁には湧水が多く、「ハケ」と呼ばれている。
その斜面はクヌギ・コナラなどの雑木林になっていて、昆虫にとって格好の生息地だ。
ここは昭和40年ごろ、ザリガニやドジョウを採りに来た場所。
今でこそ区の保護地域になっているが、当時は小川には一切護岸がされず、
雑木林にもベンチや遊歩道の人工物はなかった。
何年か経ち、四大公害病が問題になったころ、日本全国で川の水質汚濁が深刻になった。
ここも隣に作業所ができ、小川は古タイヤなど不法投棄物であふれかえった。
ちょうどアニメ『千と千尋の神隠し』で、川の神様の体内から大量の廃棄物が出てくるシーンがあるが、
私はまさに、この小川の変わり果てた姿を思い出した。
時は流れ、自治体が環境保全に乗り出してくれたおかげで、余計な人工物は追加されたものの、憩いの場所として復活を遂げたわけだ。
ゴミの不法投棄は改善されたものの、生物の不法投棄に対する意識はどうだろう?
こういう聖地で外国産クワガタに鉢合わせすることなく、在来種のコクワを見られることで心の平安を得たいものだ。