2007年4月7日                     

最近は、マニアックな探索にさらに拍車がかかっている。
ちなみに今回のポイント調査では、昭和6年の『西埼玉地震』(M6.9)について
調べてみたり、防災科学研究所の『地すべり地形分布図』を参考にしている。
いろんな角度から推測することで、「植生の遷移」をより正確に辿ることができるのではないだろうか?
自宅周辺のいわば“コンビニ採集”を標榜してきた身としては、まさに両極端とも言える姿だが、
近所の“コンビニ”が次々と閉店し、継続的なレポートが難しくなりつつある現状では、
今後も山師的な活動傾向が強まっていくことは否めない。

さて、前回予告したとおり、山腹の別天地(?)を目指す。
谷からの比高は、200mくらいある。

▲谷沿いの斜面には、人知れず咲くカタクリの群生がみられた。


林道で登り口を探していると、こんな看板が・・・。

昨秋から、里山にクマが出現する騒ぎが全国的に頻発している。
関東でも、八王子市の高尾山や鳩山町、寄居町の市街地などで目撃され、
以前では考えられないほど、クマが平野部に向かって東進していることがわかる。
現在地も、クマの生息域の"ストライクゾーン”といえるだろう。


意を決して登りはじめると、いきなりクヌギ林。
クヌギに寄り添うように、四角い木箱がいくつも置かれている。
そう、ミツバチの巣箱だ。
クマは大好物の蜂蜜を求め、巣箱を襲うことがよくあると聞く。



やや離れたところに、とても有望なクヌギが見えた。
先を急ぐために、ズーム撮影だけしてパスする。



畑の脇を抜けると、いよいよ『Yの字』の植林帯に突入する。
これがまた長い。
ダイエットには良さそうだ。



方向を見失わぬように注意しながら高度を稼ぐと、ようやく平坦地の一角に飛び出した。
そこには、まるで平地のようにクヌギ・コナラの雑木林が広がっていた。
予想は的中したようだ。
あとは良い木があるかどうかだが、こればかりは運を天に任せるしかない。



遠目からではわからないが、歩いてみるとこの"山腹の平地林”は、
帯状に伸びていて、家が百軒以上建つほどの面積がある。

▲植林帯の急登がウソのような、のどかな景色である。



▲手付かずのおいしそうな木もある。


ちょっと事情があって(笑)じっくり見られなかったが、だいたい想像したとおりの植生だったため、
それだけで満足してしまった。
こういった"広葉樹の孤島”は、その気で探せばいたるところにありそうだ。


休憩後ほぼ同じルートで下り、車で移動。
ここは、前回見落としていたところ。

▲ひとついいのがあった。


さらに、クヌギの植生が予想された別の場所へ。
なかなかいい感じであったが、決定打がない。
ネブトもいけるかと思ったが、掘ってみる元気がなかった。



夕暮れがせまり、最後のポイントへ。
う〜ん、これ1本のためにここへは来ないだろう。



もうお分かりかと思いますが、前述の平坦地は『地すべり地形』です。
白神山地のブナ林は、土壌が豊かなこうした地形でとくに発達している。
もしここが例の『西埼玉地震』で発生した場合は、裸地から現植生まで75年ほど経過していることになる。

真偽を知りたければ、土地の古老に尋ねてみるしかあるまい。