2007年3月30日                     

まるで2倍速のビデオのように季節がめぐり、気がつけば春爛漫である。
全国で東京が開花一番乗りとは、桜前線も大混乱。
季節の"目覚し時計”が狂ったせいで、動植物はみな眠い目をこすりながら、
戸惑いの声を発しているかのよう。
新緑で視界が利かなくなる前に、もうひとふんばり探索を進めておきたいところだ。

▲山沿いには、春の名残もちらほら。


まず、最初のポイントへ。
斜面を登り植林帯を抜けて、谷筋へ回り込む。
苦労して期待の場所にたどり着いたが、見事にスギ1色でクヌギはおろか
コナラさえ見当たらず。
あたり一面スギ花粉が舞い、まるで胡椒を吸い込んだようにくしゃみが
果てしなく山峡にこだまする。
1時間半後に車に戻り、しばし休息。

どこへ行くか、しばし地図を見て考え込む。
とりあえず、車を走らせながら場当たり的にルッキングを開始。
有望なクヌギを見るたび停車、バック、切り返しなどを続けたのち、
けっこうクヌギがまとまって生えている斜面を発見。
ここはちょっとした障害物があり、夜はちょっと取り付きにくそうだが。

▲藪はたいしたことない。が、けっこう急。

おそらくかなり昔に植栽されたのだろう。
けっこう太い木が多く、そこそこ楽しめそうである。

▲まず1本目は目の高さ。


▲中央のクヌギとそのアップ。根元から5mくらいまでめくれとボコボコが続く。


▲ちょっと高めだが魅力的。



▲左のほうはとてもイージー。


植林帯をトラバースしてお隣りの斜面へいく。
すでに乳酸がたまりまくり、足はパンパンで痙攣の一歩手前である。



こっちにも何本かありそうだが、もうさっきのところで満足したので
引き返すことにする。



再び車に戻り、10キロほど移動。
じつは途中でも散々、道なき斜面を上下したのだが、写真は割愛。
しかし、その都度なかなか良いデータを収集。
それを踏まえて、下の写真に御注目。
一見、植林帯と広葉樹林帯がモザイク状に広がる何の変哲もない尾根筋である。

ちょうど太い『Y』の形に植林が伸びているが、その『Y』の凹み部分に広葉樹林帯がある。
ここは、不思議なことにほぼ平坦な地形になっているのだ。
また、撮影地点とはちょうど谷を挟んで、ほぼ同じ標高である。
いまちょうど自分が立っているところは、集落から離れているのにクヌギや竹林が多い。
同じ集落の領内に属する斜面であることを考えれば、反対側の斜面でも、歴史的に同じ土地利用が
行なわれてきた可能性が極めて高い。
もし、自分が一昔前にあの集落の人間だったとしたら、作業の容易な平坦地を選び薪炭林や畑にし、
炭焼き小屋でも建てたことだろう。尾根のてっぺんでもないので、水場も得やすい。
谷底より中腹の方が日照時間も長く、気温の逆転層など、生育に優位な点もあろう。
さらに、このようなポイントを重視する理由がもうひとつあるのだが、それはまたの機会にでも。

双眼鏡でも樹種を判別できず、失敗のリスクも高いが、とにかく次回挑んでみることにする。
まあ、毎回このように自分なりの尺度で推理をしながら、少しでも確率的に高いターゲットを選んで検証する、
という繰り返しであるのだが。
家が建つ付近から、どういうルートで攻めていくか。
はたして、予想はどれほど的中するか???
たとえ"くたびれ儲け”になろうとも、なんらかの経験値(データ)になれば儲けものだ。