2006年5月31日                     

天候不順による日照不足野菜が値上がりするという。
こういう事態に直面すると、気候変動でまず草食恐竜が死に絶え、
続いて肉食恐竜が後を追い・・・という説に賛同して1票投じたい気分だ。
植物の生育が鈍いと蝶や蛾などの”草食昆虫”が減り、続いて鳥が・・・と連鎖を
想像してしまう。が、本当に夜行性の”樹液食昆虫”諸君も、日照不足問題について、
遠い国で起こった地震災害のように無関心を装っていてよいのでありましょうか?
そこで今夜は、街角で出会った平田さん(男性@食事中)に、この疑問をぶつけてみた。

わたし   「平田さん、こんばんは。今年は
日照不足で、いわゆる「五月晴れ」という言葉も
       聞かれません。でも、
あなたたちや受験生のような夜型の人には、
       まったく影響ないはずですよねぇ?」

平田さん  「てやんでぇ、こちとら江戸っ子でぇい。3代どころか
50代も100代ずっとここに
        住んでいらぁ。見てくれこの有様を。おめぇ、
”天保の大飢饉”って知ってっか?」

わたし   「はあ・・・、そういえばむかし社会科の時間習ったような気もするけど。あっそうそう、
       その日ね、ちょうど風邪で学校休んでたんでよくわかんなーい(笑)」

平田さん  「ばかやろう。じゃあよく耳の穴かっぽじって聞いとけ。雨が降ってもな、お天道様が
        カンカンに照らなきゃ、
甘い水にならねぇんだ。光合成っつーの習ったろ? このバカ」

わたし   「まあまあ、そうカッカしないで。
『こ、こうこうせい』? じょしこうこうせいなら知ってますけどぉ』

平田さん  「カッカするもなにも、火事と喧嘩は江戸の華でぃ!! あ〜腹減った」

わたし    「ねえねえ平田さん。 『武士は食わねど高楊枝』っていうじゃな〜い。
        がまんがまん。でも、御自宅から遠いのによくそんな
甘い水の出る井戸
        探し当てましたねぇ。しかもほんのちょっとしか湧いてないでしょ? 匂いも全然
        しないのに・・・さすがだなぁ」

平田さん  伊達に長屋暮らしはしてないぜ! 醤油がなくなったら隣のおばちゃん
      から借りる
なぁんて家族ぐるみの付き合いは、いま全然ないらしいがな」

わたし   「・・・・・・??? つまり甘い水も分けてもらえるってこと?」

平田さん  「いやあ、そこまで話は甘くねぇ。だが、そこを見てご覧。あっち向いてごっつんこ! 
        の
有井さんが忙しそうに歩いてるだろ。有井さんの口、いや体中から甘い匂いが
        漂っているわけだ。するとな、その歩いてきた方向を逆にたどるとだな、必ず
井戸に
      たどり着ける
っちゅう寸法だ」

わたし    (ポンと膝をたたいて)「これはこれは! 恐れ入りやの鬼子母神!とか」

平田さん  「まぁ今風に言えば、匂いをたどっていく警察犬みたいなもんかな」

わたし    「有井さんは大家族でどこにもいますから、ホント頼りになりますよね。
         でも平田さん、こんな遠くまで来ちゃって、帰りにまた腹減ったりしません?」


平田さん  「まったくもって。おらぁ大食漢だから・・・。小桑さんのようなスリムな体型なら
         飢饉でも怖くないんだがな。これからはあの人たちの時代だろ」

わたし    「そんな寂しいこと言わないでくださいよ。どうです?わたしの家に遊びに来ませんか?
         おいしい御馳走もありますよ」


平田さん  「ううっ泣けてくるぜ・・・。気持ちは有難てぇが、先祖代々住み慣れたこの土地を離れる
        わけにはいかねぇんだ」


わたし    「さすが江戸っ子! 頑固ですねぇ(笑)」