2005年8月23日 |
久々の単独行である。
ここはかなり古くから開拓された山村らしい。
点在する家々を結ぶ、急斜面の細い道を登っていく。
村の中心を流れる谷川では、主婦が洗濯物を洗っている。
昭和初期のような風景である。
村人から自分に対して、誰何する声がいつかけられるか気が気でない。
集落を抜けると、植林や果樹園、野菜畑、竹林などがモザイク状に分布している。
諦めて引き返そうとしたとき、山道の脇に置かれた丸太が目に入った。
▲道の右側に、ガードレールのように置かれていた。
念のため近づいてみると、奥の丸太は太いクヌギである。
▲伐採されてから2〜3年以内だろう。
常識的に考えれば、わざわざ下から丸太を上げることはない。
この上の斜面にきっとクヌギ林があるのだろう。
そう信じて我慢して登っていくと、太いクヌギが30本ぐらいまとまって生えていた。
けっこう台場風のものが多いが、樹液が出ていない。
さらに分岐した別の道を登ると尾根筋へ出た。
ここは細めのコナラが多く、ほだ木としてたくさん積まれていた。
来た道を戻るのも芸がないので、尾根を下っていく。
農道に出て桑畑沿いに奥へ進むと、また斜面の上のほうにクヌギ林。
▲ここはまったく採集者の痕跡が見られない。
手付かずのよい木もあるが、捲れが高いため細部を確認できない。
相当な樹齢のクヌギもある。
ここは、昔の炭焼き窯の址かもしれない。
かなりの標高、そして急斜面でもクヌギが植栽されているわけだが、
今日歩いてみて少しその理由がわかったような気がした。
ここで車で移動し、やや平地に近いところへ向かう。
7月24日に回った場所に隣接したクヌギ林に入ってみる。
本数は多いが全体に細めだ。
しかしけっこう樹液率は高く、コクワやスジがたかっている。
ササが濃くなったが強引に降りていくと、犬のほえ声。
民家の裏手に出たようだ。
節くれだったようなコナラに樹液が出ており、ノコが潜んでいた。
市街地近辺では、この時期はもうほとんど姿が見られないが、
採集圧のないところでは、けっこう生き延びているものだ。
▲棘が一面に生えたようなキノコ。(種類不明) ▲スズメバチとオオムラサキ♀のタイマン勝負。
日没が迫ってきたので、恒例のオオクワ洞見物へ。
オオクワは期待していないが、人的影響のない移り変わりを観察できるという楽しみがある。
前回のカブト♂に代わって、ノコ大歯型がコクワを従えて陣取っており、入り口ではスズメバチがケンカしていた。
樹液の枯渇するこの時期、別々の巣のハチがここへ集中しているのだろう。
洞からは豊潤な樹液が流れており、カブト♀やスジなどもいる。
洞の奥にはボクトウガの幼虫がおり、安定した樹液供給源になっているようである。
ノコの新政権は、いつまで続くのだろうか。