2004年5月9日                 

午前中はなんとか天候が持ちそうなので(奥様の天候もしかり)、例によって遠慮がちに、10時門限の下見に
行かせていただく。
出発は5時だが、もうすっかり明るくなっている。
今回も丘陵地帯。
最近は、平地林よりも自然度の高い丘陵沿いの山里を起点にして、背後の山に入るようにしている。
江戸以降の新田開発に伴い発生した平地林では、どうもオオやネブトの生息を期待しづらい面がある。
一見、山里は植林されているようだが、実はとある場所にはモミやカシに代表されるような太古からの
自然植生に近いものが残っており、それに加え自生あるいは植栽のクヌギが程よくミックスしている
場所もある。
ある程度地形図で予想しながらも、現地で修正しながら臨機応変に動くしかない。
極端な話、集落の歴史を探ることもけっこうヒントになり、たとえばその集落の寺社がどんな時代に建立されたか、
などということも参考にしてみたりする。

きょうもそんな歴史のありそうな集落を抜け、クヌギ・コナラもほとんどない沢沿いから入る。
モミの大木や杉林の中を我慢して登ると、右に小さな谷が開け、クヌギもかなり目立つ。
物凄い樹皮めくれクヌギを発見し心躍らせたが、残念ながらすでに枯れていた。
数年前に発見したかったものだが・・・。

▲じめじめした沢を登っていく。

ここ数日は、ネブト用にスコップも持参。土化したアカマツなどを掘ってみるものの、まったくかすりもしない。
へたくそである。
掘っているとあっという間に時間がすぎるので、ルッキングに専念することにした。
ふと小さな水溜りがあり、覗いてみると・・・



トウキョウサンショウウオの卵のうがあった。
むろんはじめての発見なのでとても感動した。

▲孵化した個体が中でチョロチョロ動き回っていた。

さらに本流に戻り登ると、やっといいクヌギに遭遇。


・・・しか〜し、こんな高いところだったりして。

▲思わず、いかりや長介さんの名台詞がこぼれる。

根元にも穴があり、クワガタの死体の一部があったが種を特定できず。


さらに沢を詰めるとコナラ主体になり、そのまま尾根上のハイキングコースに
飛び出してしまった。しばし徘徊の後、車へ帰還。



谷筋を変更し、車を可能な限り奥に止め、山道を進む。
絵に描いたように見事な植林である。
いままでは、このようなアンチクワガタ的風景に出くわすと、反射的に
引き返してしまうものだった。


しかしパッチワーク的に残されているクワガタ的環境に望みを託し、奥へ。
すると反対側の斜面にクヌギの姿が・・・。



脚立があれば何とかなる高さに、いいめくれがある。
樹液も出そうでなにより。



植林に囲まれているが、このクヌギ林の面積であれば生態系を維持できているだろう。
発生源となる倒木も多いので、ぜひ7月に訪れてみたい。