2003年7月31日 

夏休みに入ってから、住宅地のそばのポイントは大賑わいだ。
日没と同時にヨーイドン!で”早い者勝ち”だから、夜9時ごろにそういうところを回っても、収穫はあまり期待できない。
単に「先を越されてしまう」ということではなく、樹液場にもともと個体がいないのか、それとも採集されてしまったために
いないのかを判別できなくなってしまうので、生態の記録としての正確なデータにならない、というデメリットが大きい。
そのため、この時期はなるべく人が入っていないポイントに足を伸ばさなくてはならなくなる。
とはいえ、「今年は誰も来ていないな」と確信できる木は数本しかなく、しかも不便な場所にあるだけに毎日のように
訪れることは難しいのだ。
きょうは午前中、そのうちの一本を見るために丘陵地へと向かった。

雨あがり、太陽が久々にのぞいて目にまぶしい。気温はぐんぐん上昇して27℃。かなり蒸し暑い。
クヌギ、コナラに常緑樹が混じる広大な森だ。
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▲このクヌギも目を凝らして見ると、幹にカブトが何匹もついている。

目指す木に到着。
まず、スズメバチを警戒して遠くから様子をうかがうが、どうやらいない模様。
予想通り、カブトムシが悠然と樹液を吸っている。
下のカブトの方が大きく強いためか、いい場所を占拠している。


で、木の裏をのぞいてみると・・・。
意外や意外、あの臆病者のヒラタが白昼堂々カナブンとケンカしながら
樹液を吸っているではないか。かなり珍しい光景だと思う。
カナブンが近寄ってくるたびに、ヒラタは迷惑そうに顎を振り回して追い払っている。
が、カナブンもなかなかしぶとくて、すぐもとの場所に戻ってくる。

▲ヒラタとカナブン。顎の下にいるのは、ヨツボシオオキスイ。

まもなく、カナブンが私の気配に気づき、オシッコ攻撃!
するとヒラタも呼応するかのようにくるりと向きを変えて、10cmほど上にあるめくれへ直行。
ついに察知されてしまったか・・・。

▲あっという間に逃げ込んでしまった。かき出して測定すると47ミリ。

その後、周辺の木を何本か見たがコクワ、スジ、カブトとカナブンばかり。
ここはノコが少ないのだ。どうしてだろうか。

森を出て、車道を歩く。
ふと脇のサクラの木を見ると、根元のほうに何かでかいものが付いている。

初めてサクラでカブトムシを見た。
個体のすぐそばに樹液はでていたが、まさに吸っている瞬間ではなかった。
近くの街灯に飛んできて、たまたま付いていたのかもしれない。

▲たくさんの人が横を通り過ぎるが、誰も気づかない。

樹液採集といえば夜間に行くのが常識だが、固定観念を打破することもたまには必要だ。
樹林内で薄暗いこと、雨後で蒸し暑いこと、丘陵地は平地に比べ新成虫の出現が半月〜1ヶ月ほど
遅いこと、カブトが大量にいてもクワガタしか入れないめくれがあればヒラタも同居できることなど、
条件をいろいろ考えて推理してみるとおもしろい。