1970年夏--マイ・ファースト採集記(東京都)
古い話でえらいスンません!
時は今から30年以上も昔、大阪で万国博覧会が開催された年の記録です。♪こんにちは〜、こんにちは〜世界の国から〜♪という歌を口ずさみながら、初めて新幹線に乗り、日帰り強行軍で万博へいきました。いまや、♪こんにちは〜と外国産のクワガタがやってくる時代になりましたが…。

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 さて、とにかくその年の私は、採集に明け暮れていたようで、(というか他に作文のテーマが見つからなかったらしい)2編の採集記が手元に残されています。ただ、採集記につきものの画像は一切ないので、記録と記憶を頼りに30年ぶりに現地をたずね、変貌したポイント画像をサカナに日本の高度成長の余韻に浸ってみることにします。採集記の舞台は武蔵野台地の東側・東京某区内です。


▲採集には、同級生のT くんと出かけることが多かった。彼はヒラタ採集の名人で、いつも真昼間に50ミリ以上の♂や30ミリ後半のまるまる太った♀をまるで手品師のごとくゲットしていた。
まず、上の採集記にも登場する○○神社の境内です。コクワ、ヒラタ、ノコがよくとれた洞つきコナラは伐採されていましたが、その隣のコナラは健在。太さは当時の記憶のままですが、高さはさすがに30年経過しただけあって天を突くかのようにそびえています。

ここは、宅地造成のために崖がコンクリートで固めてあります。当時はもちろん土の急斜面が続き、クヌギやコナラが所狭しと密生し、他の採集少年とバッティングしたことのない「秘密のポイント」でありました。直径20cmくらいのコナラでしたが、木に張り付いて樹皮のすきまのヒラタを2匹採った記憶があります。
当時の面影を求めて、少し奥へ進んでみましょう。


▲コンクリートジャングルの中から、たくましく生えているクヌギが・・・。がんばれ!とつい応援したくなってくる。
今度は別のポイントへ行って見ます。ここはかなり広い雑木林でした。クヌギが20本ぐらいまとまって生えている場所が採集ポイントでしたが、その周囲に竹やぶや広葉樹の森があり、そこが発生源になっていたような気がします。現在はクヌギ林の一部が保存され、中を歩けます。一見当時のままのようですが、地面の朽木などはすべてきれいに片付けられ、発生源ゼロの状態です。

ここは、ノコギリクワガタのパラダイスで、6月には毎日のように新成虫がいたのを思い出します。都市の中の自然は、いかに整備され美観が重要視されているかという好例でしょう。生態系のことをもっと考えてほしいと思いこの地を後にしました。