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アスピック |
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ジャンル | ロールプレイング( 3D ダンジョン/ 2D フィールド) |
開発元 | クリスタルソフト |
発売元 | 同上 |
メディア | カセットテープ( 1 本) |
定価 | 4,800円 |
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シナリオ | 8.5 |
グラフィック | 6 |
サウンド | 6.5 |
ゲームバランス | 8.5 |
操作性 | 8 |
ゲーム性 | 9 |
総合 | 9 |
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「リザード」の続編。前作では姫の呪いを解くという "真実の書" を手に入れたところで話が終わってしまったが,本作ではその "真実の書" を城に持ち帰ったところからストーリーが始まる。
苦労して "リザードの塔" から帰ってきた勇者。しかし,彼を待っていたのは "アスピック" に姫がさらわれたという知らせだった。勇者は再度,今度は姫を助け出すという旅に出る。
世界を駆け巡り,それぞれの世界に存在する塔の探索を終えた勇者はようやく "アスピックの塔" へと辿り着く。強敵をものともせずついに "アスピック" と対峙した勇者は激闘の末にこれを打ち倒し,姫を救い出して城へと送り届ける。
普通のゲームならばここで姫と結ばれるなりしてハッピーエンドとなるだろう。が,本作ではここからが一味違う。城へと戻った勇者を待ち構えていたのは歓待の宴ではなく,城下からの追放という非道な扱いだった。"アスピックの塔" に幽閉された勇者は,今度は城を目指して出発する。姫をこの手に取り戻すために。いままで味方だった人々との戦いの果て,勇者は姫をさらって塔へと戻ってくる。そこで勇者を待っていたのは...。
もの悲しくも感動的なエンディングはぜひとも読者自身に体験していただきたい。とはいえ,いまさら本作を遊べる環境にある方などそうそういないだろう。そこで今回だけは特別に,ラストシーンをお伝えしよう。
姫を連れて塔へと戻った勇者。その彼に,一つの変化が訪れ始めていた。後ろ姿が徐々に変化し,だんだんと蛇の姿へと変わって行くのだ。まるでかの "アスピック" であるかのように...。そう,"アスピック" とは永遠の存在。命を失うごとに新たな身体を得,永遠の時を過ごすもの。"アスピック" から姫を救ったはずの勇者は,今度は自らを "アスピック" と化し,姫を虜としてしまう。新たな勇者が自らを倒しにやってくる,その日まで...。
PC-6001 シリーズ初のオリジナル RPG として話題を振りまいた「リザード」の続編。正直にいって「リザード」でエンディングを迎えた当時には,続編が出ることなど予想だにしていなかった。本作が発売されたときには喜びよりも驚きのほうが大きかったものだ。
前作では一つの塔を探索するというダンジョンタイプの RPG だったが,本作ではより世界が広がって,広範囲にわたってフィールドマップ内を移動することができた。そして各地に点在する建物や塔の中に入ると今度はダンジョンタイプに切り替わるという,2D/3D 混在のシステムとなっていた。Ultima シリーズを知っている方ならば,Ultima I〜IV (それ以降は遊んでいないので確証なし)みたいなものだといえばおわかりいただけるだろうか。ただ,当時のマシン環境ではこのように世界を広げてしまうことにはかなりの負担があったためか,グラフィック自体はかなり貧弱なものとなってしまっていたのは残念だ。ダンジョン内部やモンスターの描写など,「リザード」のほうがより優れていたのは気のせいではなかったはずだ。
3D マップのスクロールは前作に引き続いて健在だ。本作ではさらに,"落とし穴" および "ジャンプ" という概念が加わって,上下にもスクロールするようになった。ダンジョン内を探索中に突然落とし穴にはまったときなどは,文字どおりに驚くものがあるだろう。反対に,落とし穴を使わないと行けない場所なども存在するのだが...。また,ダンジョン内では新たに敵の姿が見えるようになり,より緊迫した雰囲気が味わえたことも記憶に新しい。弱っているときには敵を避けて歩くということもできたわけだ。フィールドマップ上ではその限りではなかったが。
ゲーム中でパーティーが組めたことも本作の特徴の一つだ。もちろん,パーティー制そのものが珍しいということではない。日本でのコンピュータ RPG ブームの礎を築いた「ザ・ブラックオニキス」以来,パーティー制の RPG は数多く発表されてきている。本作のパーティー制における最大の特徴は,その組み方にあるのだ。パーティーの人数は最大で 3 人。うち 1 人は主人公で残り 2 人がゲーム中で仲間になる,いわゆる NPC (ノン・プレイヤー・キャラクター)である。NPC はゲーム中で登場する好きなキャラクターを味方にできるのだが,ゲーム後半で姫をさらいにいくときにはモンスターを味方にすることができるようになるのだ(反対に,いままで仲間になってくれた人間たちは敵として登場する)。途中から犯罪者として追われるようになるとか,最初からモンスターを演じる RPG などはいまでも時々見かけるが,途中で人間とモンスターの立場が逆転するという作品は珍しいのではないだろうか。「モンスター=悪」という図式がすでにできあがっているので,こういった作品に感情移入できる人がなかなかいないのが原因なのかもしれないが。ちなみに筆者は以前,テーブルトーク RPG で「優しい(=善)ラミア(上半身が女性で下半身は蛇という,ファンタジー RPG の世界では有名なモンスター)」というものを登場させたことがあるが,あっさりと殺されてしまった経験がある。もっともそのときの世界観は基本的には「モンスター=悪」であったので,キャラクターの立場としては当然のことをしたまでだったのかもしれないのが筆者の誤算であったのだが。
('98/1/1) |
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