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惑星攻機隊りとるキャッツ

惑星攻機隊りとるキャッツ

ジャンルシミュレーション
発売日1997年7月4日
開発元ファミリーソフト
発売元NECホームエレクトロニクス
定価7,800円
購入日1997年7月3日
購入店名メッセサンオー
購入価格(税抜き)6,800円(6,477円)

シナリオ6
グラフィック3
アニメ(画質)2
アニメ(動き)10
サウンド4
ゲームバランス4
操作性3.5
ゲーム性4
総合3.5

...
 育成要素を含んだシミュレーションゲーム。西暦2097年(宇宙暦0097年)の未来を舞台に,火星周辺での「火星政府」「火星企業連邦の私設軍『MAPT』」「地球国連宇宙軍」の3勢力の争いを描く。プレイヤーは「地球国連宇宙軍」の一員となり,特殊部隊「ブラックピューマ(りとるキャッツ)」を率いて各種任務に参加することとなる。
 ゲームは主として3つの場面から成り立っている。基地内などを移動し,各キャラクターとの会話などを楽しむ「ストーリーモード」,1週間ごとのスケジュールを立てて育成を実行する「育成モード(育成の代わりに作戦に参加することも可能)」,実際に戦闘を行う「シミュレーションモード」である(説明の都合上,マニュアルの記述とは分類が若干異なっていることをお断りしておく)。以下,3つのモードについて簡単に解説してみよう。
3
 宇宙基地(後半は宇宙戦艦)内をうろつき回り,出会ったキャラクターと会話をする,これが「ストーリーモード」の基本だ。主な会話相手は部下である4人の少女(リムリィ,ダイアナ,ジョディ,ミサト)とプレイヤーの補佐をしてくれるクレア中尉,そして各部署の担当者たちとなる。毎週1度このモードに入り,その後スケジュールを設定して育成を行うのがゲームプレイの基本となる。
 時々会話中に選択肢が出てくることがあるが,この選択次第ではストーリー進行に重要な影響を及ぼすことがあるようだ(まだ1度しか遊んでいないので,正確なところはわからないが)。コマンドを選ぶときには慎重を期したい。また,選択肢の中に「食事に誘う」という項目が出てくることがあるが,これを選ぶとその週のストーリーモードが終わってしまうことがあるので注意したほうがよいだろう。
 「育成モード」は最初にその週に訓練する項目を選び,あとはひたすら1週間後の結果を待つのみである。ところでこのモード,1週間を通して1種類の訓練しかできないというのは育成シミュレーションとしては珍しいかもしれない。
 ストーリー進行上の特定イベントに突入するか,あるいは「育成モード」の育成項目を選択するときに「作戦」を選択すると,宇宙空間での戦闘を行う「シミュレーションモード」になる。各マップでは特定の勝利条件が設定され,それをクリアできない場合最悪ゲームオーバーになることもあるらしい。シミュレーション自体の難易度は比較的高いので,油断してとりかかると痛い目にあうだろう。とくに,武器弾薬数の制限は注意していないとすぐに弾切れにつながるので,常に気を配っておかなければならない。もっとも,攻撃時に武器を選べるわけではなく,また途中で弾薬等の補充ができるわけでもないので気を配っていても仕方がないともいえるのだが。
10
 マニュアルには各キャラクターの簡単な設定が載っているが,ゲーム中でそれを意識することがほとんどないのは残念だ。とくに,部下の4人の少女がそれぞれ要人の娘という設定など,ほとんどゲーム中に生かされていなかった。ただ,そういうことを抜きにすればそこそこ遊べるシナリオとなっている。ゲーム中で,上司である司令から育成や作戦の参加結果についてたびたび怒られたりするのも,いままでのゲームではなかなか味わえないおもしろい要素となっている。
 が,上記のような要素すべてをぶち壊しているものがある。それは,悲惨なグラフィックと操作性だ。背景の一部こそそこそこ綺麗であるものの,キャラクターなどはジャギがまったくとれてなく,10年前のファミコンゲームを見ているような違和感を感じた。ファミコンにはアドベンチャーゲームの傑作「メタルスレイダーグローリー」というソフトがあるのだが,正直言ってこちらのほうがずっと画面的に見栄えがする。背景など総合的に考えればグラフィックは本作のほうがよいのだが,少なくともいま現在の水準から遙かにかけ離れていることは確かだ。
 操作性に関しては,きわめて悪くてゲームを続けることに苦痛すら感じた。シナリオは複数分岐するようでそれなりに出来がよいのだが,1回ゲームが終わったところで操作性の悪さに嫌気がさし,いま現在2度とやる気がおこらない。では,具体的にどこが悪いのか? いくつかの例を以下に示す。
  1. 「ストーリーモード」時に,移動先を指定するカーソルの位置が常に初期化されるため,デフォルトの位置から離れた場所の指定をするのが面倒
  2. 「シミュレーションモード」で,命令を与えるユニットを選択したあと,いちいち画面右下の命令一覧へとカーソルを移動しなければならない。自動的に一覧にカーソルがジャンプする程度のことはしてほしかった
  3. 「シミュレーションモード」で搭乗する機体の整備を行うときに,違うキャラクター用の機体を選択しようとすると最初から操作をやり直さなければならない。
  4. 「ストーリーモード」でセーブ画面に移行するときに異常に待たされる。「シミュレーションモード」ではすぐにセーブ画面に移れるのだが...
 操作性での不具合は総じて上記のような細かいことなのだが,細かいだけに普段のプレイ中でよく使う機能に関してのものが多く,結果としてストレスが溜まるといってもよいほどのひどい出来になってしまった。
 FXの命ともいうべき動画再生。正直なところここ半年ほどはコマ落ち,画質の悪さなど悲惨なものばかりでプレイステーションはおろかセガサターンのシネパックにすら劣っていたのだが,本作ではひさびさにFXの面目躍如といった雰囲気を感じた。既存の作品とご多分に漏れずに本ソフトでも画質は悪いのだが,動きに関してはいままで見たどのゲームのそれよりも綺麗であった。普通,どんなに綺麗に動画を取り込んでいるように見えてもパンやフォロー(背景ごとスクロールしているものと思っていただきたい)のときにはほんのわずかにガタつくものである。が,本作ではそのようなことがまったくといっていいほど存在しない。恐ろしいほど滑らかに動画が再生されるのだ。これで画質がきちんとしていれば,ムービーについては文句のつけようがなかったのに残念でならない。
 ところでオープニングムービーについて1点,気になることがあった。モニターに「RADY」と表示される場面があるのだが,これはもしかしたら「READY」の間違い?
...
 コンセプトやシナリオ等,ゲームとして十分におもしろいものになる要素を持っているのに,グラフィックと操作性がすべてを台無しにした作品だ。もしリメイクできるものならば,ぜひとも行ってもらいたい。そのときには,喜んで購入させていただきたいと思う。また,そうでなくてもプレイステーションやセガサターンに移植するような機会があるのならば最低限,指摘した2点だけはしっかりと改善してもらいたい。
1997/7/27


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