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スパークリングフェザー

スパークリングフェザー

ジャンルシミュレーション
発売日1997年4月25日
開発元NECホームエレクトロニクス
発売元NECホームエレクトロニクス
定価8,800円
購入日1997年4月25日
購入店名メッセサンオー
購入価格(税抜き)6,800円(6,477円)

シナリオ4.5
グラフィック5.5
アニメ(画質)4
アニメ(動き)5.5
サウンド6
ゲームバランス7.5
操作性5.5
ゲーム性7
総合7.5

 二つの勢力に分かれたフェザーという名の戦士たち同士の争いを核に,謎の生命体STINと政府機関SCATとのよつどもえの戦いが展開するシミュレーションゲーム。プレイヤーはコンチネンタルフェザーというグループに属するルビーフェザーを操り,対抗勢力であるオーシャンフェザーと戦って行く。また,戦闘の合間には登場キャラクターとのデートイベントがあり,恋愛ゲームの要素も含んでいる。
 シミュレーションゲームとはいうものの,プレイヤーが操作することは少ない。各ユニットは基本的に独自の判断で行動し,プレイヤーは「直進移動」「迎撃」などの抽象的な指示を出す程度のことしかできない。指示を与えられたユニット(キャラクター)は,プレイヤーユニット(キャラクター)に対する信頼度に応じて指示に従ったり従わなかったりする(ときには不平をいいつつも従ってくれることもある)。デートイベントの存在からもわかるように,信頼度とはすなわち愛情度のことなのだが,なぜストレートにそういわないのかというとユニットの中に男性キャラがいるからだろう(プレイヤーキャラは男性)。もっとも,男性同士での愛情というものがあってもおもしろいとは思うのだが... 信頼度を上げるためには,戦闘の合間のデートイベントで会話をするのが効果的だ。もっとも,会話によっては信頼度が下がってしまうこともあるので注意が必要だが。
面,
 戦闘画面にはクォータービュー方式が採用されているが,障害物の影にユニットが隠れた場合の考慮(たとえば透けて見えるとか)がまったくされていないために,操作性がかなり悪くなっている。カーソルの移動が少し癖のあることも手伝って,操作になれるまではかなり時間がかかるだろう。フィールドグラフィックはメガドライブやPCエンジンで遊んでいるような錯覚を覚えた。どうもFXのゲーム全般についていえることだが,グラフィック関係が弱いものが多すぎる。本体機能が1世代前のゲーム機と大した違いがないのはわかるが,もう少し気を使ってほしいところだ。反面,ユニットに指示を与えたときや戦闘時などに表示されるキャラクターのグラフィックはけっこうきれい。欲をいえば一枚絵でなくアニメーションにしてほしかったところだが,いちいちその再生のために消費される時間を考えればこれでよかったのかもしれない。ゲーム中の一枚絵の場合では,いちおうオプション設定でグラフィック表示を無効にすることもできるのだが,常に表示しておいてとくに不具合は感じなかった。
 最近の流行に乗っ取って,このゲームでもすべてのセリフをしゃべってくれる。このような場合,最初のうちはよくても,すぐに同じメッセージを聞き続けることに苦痛を感じることが多いので,キャンセル機能がついているのはうれしかった。もちろん,最初から音声を無効にすることも可能となっているのでこれを利用してもよかったのだが,たまに音声を聞きたくなるときもあるので今回はあえて有効にしたまま遊んでみた。ところで音声についてだが,品質が非常に悪い。これではどんなに有名な声優を起用しても興ざめだ。
FX...
 アニメーションの品質ははっきりいって悪い。もとの作画はいいとは思うのだが,取り込み品質が悪いためにコマ落ち,ブレなどが非常に目立つ。14インチのテレビで遊んでいたときにはそれほど気にならなかったのだが,28インチ(ワイドテレビなのでノーマルサイズで表示すると実質25インチか)では見るに耐えなかった。ふと思い立ってセガサターンのRPG「魔法騎士レイアース」と見比べてみたのだが,動き・画質ともレイアースのほうが遙かに上回っていた。動画しか売りのない(最近思ったが,FXって動画がよくても音が悪くてすべてをぶちこわしている気がする。よっぽどサターンのシネパックを見ているほうがましというものだ)FXにとって,これは致命的ではなかろうか? PCMの音割れとともに,今後ぜひ改善していってほしいところである。
 シナリオは章単位で分割され,ゲーム全体を通してひとつの物語を形作る。が,各章ごとのつながりはあまりなく,全体のストーリーが霞んでしまっているのが残念だ。章ごとに関連性を持たせれば,より深みのあるシナリオになったことだろう。また,登場人物の個性がほとんどないのが気になった。「LAST IMPERIAL PRINCE」でもそうだったが,結局個々の人物の背景というものが語られていないため,ゲームの中での人物像が非常にぼやけてしまっているのだ。これは別にFXのゲームに限らずたいがいのものに当てはまるのだが,最近のゲームのひとつの傾向として多くのプレイヤーの好みを反映させるために登場人物を増やした結果,個性の薄いキャラクターばかりが生まれてしまうようだ。
 デートイベントについては述べることはほとんどない。各章の合間にイベントが発生するわけだが,発生条件も何もあったものではなく,単にルーレットで決めるだけ。デート中は一枚絵のグラフィックが表示されるだけで,3択の中から選んだ会話によって信頼度が上下するというものだ。何だかとってつけたような雰囲気でプレイヤーを馬鹿にしているようにも見受けられるのだが,これにはまってしまった自分が情けない。
 ゲーム中に頻繁にアニメシーンが挿入されるのはうれしい。時間的に見るとひとつひとつのムービーについては微々たる量なのだが,種類が豊富なので何だか得した気分になった。あとは取り込み品質をしっかりしてくれれば文句はなかったのだが...
 エンディングについても不満が残る。基本的に各キャラクターごとにエンディングがあるらしいのだが,これまた1枚絵のグラフィックが表示されるだけ。せっかくのエンディングもこれでは興ざめだ。FXならずとも,きちんとしたムービーにしてほしかった。
 厳しい意見が続いたが,ゲームとして見ればそこそこ遊べるものに仕上がっている。1回の戦闘が30分程度ですむのも,時間がないときでも気軽に遊べるのでありがたい。今年(1997年)に発売されたFXのゲームの中では,一番遊べるソフトなのではないだろうか。

1997/5/21


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