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LAST IMPERIAL PRINCE

LAST IMPERIAL PRINCE

ジャンルロールプレイング
発売日1997年3月14日
開発元日本アプリケーション
発売元NECホームエレクトロニクス
定価8,800円
購入日1997年3月13日
購入店名--
購入価格(税抜き)--

シナリオ4.5
グラフィック6.5
アニメ(画質)8
アニメ(動き)5.5
サウンド9
ゲームバランス6.5
操作性8
ゲーム性5.5
総合5

 「ザナドゥ」「風の伝説ザナドゥ」といったアクションRPGの傑作を送り出した木屋善夫氏プロデュースの,FXオリジナルの横スクロールアクションRPG。発売予定リストには早い時期から取り上げられていたにも関わらず,なかなか情報が公開されずに長い間ベールに閉ざされていた作品がついに発売された。
 モンスターに国を奪われた皇子が国を奪還するところから物語は始まり,やがて世界を救うことになるという定番のストーリーを中心に,様々な人間関係を織り込みながら皇子が自分の存在価値に疑問を感じるようになるというテーマが全編を覆い尽くしている。もはや単なるギャルゲーマシンと化したFXにおいて,久々に硬派なタイトルが登場したのは喜ばしいことだ。
 肝心のゲーム内容についてだが,開発期間が2年近くに及んだわりには正直にいって物足りなさを感じた。まず第一に,シナリオが圧倒的に弱い。全5章からなるのだが,最初の章は自分の国を奪還するという明確な目的があるのだが,2章以降の展開が勢いに欠ける。「皇子ご一行はどこどこの国にやってきました。するとどうしたことでしょう,モンスターが暴れております。正義感の強い皇子はこの自体を放っておくわけにはいかず,仲間とともにすべてのモンスターを退治します。そうしてこの国には平和が訪れました。しかし,これでめでたしめでたしというわけではありません。まだまだ多くの国がモンスターの侵略にさらされているのです。そして,その背後にはモンスター全体を統括する大いなる敵が控えているというではありませんか。皇子はすべての解決を図るため,新たな国へと旅立ちました」といった展開が2章以降,最終章まで延々と続くのだ。もちろん,ただ単にモンスターを退治するというのではなく,その背景にはおのおの目的がある。が,その目的は非常に希薄だ。ここで第二の問題点が浮上してくる。
 問題の第二点目として,登場人物の存在感が乏しいことが挙げられる。皇子たちは旅先で様々な人々と出会い,それが物語の伏線へとつながって行くのだが,とにかく彼らに存在感がない。これは,会話が少ないことが原因だと思われる。登場する人物はそのほとんどが,ゲームの進行に必要最小限のメッセージしかしゃべらない。もちろん通常ならばそれでも問題ないのだが,マニュアルで紹介されたり,あるいはオープニングムービーに曰くありげに登場しているキャラクターまでもが同じような会話しかしないのは興ざめだ。もっと性格などが感じ取れるよう,深みのある会話がほしかった。
 第三の問題点は,ビジュアルシーンが悲劇的に少ないということだ。いまやビジュアルシーンはRPGにおいて必要不可欠な要素であり,これがストーリーの盛り上がりを左右するといっても過言ではない。それなのに,本作ではオープニングとプロローグ,そしてエンディングの3箇所にしかムービーが入らない。各章の間では,1枚絵の背景にバストアップのキャラクターが表示され,あとは音声のみの会話シーンとなる。たしかに,32ビットゲーム機でユーザーが納得のいくビジュアルシーンを作るとなるとOVAなみのものが要求され,いろいろな意味で大変なことはわかる。が,いくらなんでもこれはなかったのではないか? これでは,PCエンジンの「風の伝説ザナドゥ」のほうがはるかによかったといわざるを得ない。
 戦闘は本ソフトの売りの一つのはずなのだが,全体的に単調な展開となってしまっている。緊張感を持たせるという意味で1対1の戦闘にしたのはよかったのだが,同じ敵が次から次へと出てくるうえにその行動が完全にパターン性なので,戦闘を続けていくうちに緊張感よりもむしろ苦痛を感じることが多かった。よけいな敵などはいっさい出さずに,もっと絞り込んだほうがよかったと思う。また,ボスが不条理に弱いのも問題だ(強すぎても困るけど)。ことに,ボスによってはダメージを受ける方が難しいという,なんともひどい戦闘になることもある。
 全体を通してみて,詰めの甘さが目立つ作品だ。基本的なところは押さえてあるのだから,もう少し丁寧に作り込めばかなりおもしろいゲームになっただろうに,残念でならない。正直な話,とてもじゃないが他人に薦められるような出来ではない。

1997/4/5


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