100ボルトは本当は100ボルトじゃない?

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今回はわけのわからないタイトルですねぇ。家庭のコンセントにきている電気の電圧、みなさんはなんと呼んでますか?“交流100V”といいます。でも交流ってのは、刻々と電圧の変わるものだと中学校で習ったと思います。その刻々と変わる電圧のいつが100ボルトなんでしょう。
ちょっと考えれば、一番電圧の高くなったときが100Vのような気がしますが、実は違います。一番電圧の高くなったときのおよそ71%の値が100Vなんです。半端な値ですね。逆算して交流100Vの電圧の一番高くなった瞬間の値は、141.421356…Vです。これで何か気がつくでしょう。
♪ひ~とよひとよにひとみごろ~、ふ~じさんろぉ~くにお~むなく~、さいんこさいんなんになる~…と歌ってたのは高石友也氏でしたが、実生活の身近なところでいつも1.41421356と出会っていたのです。
それから、71%と141%(または70%と140%)は、コピーをとるときにも目にしますね。A3をA4に縮小するのが71%、その逆に拡大するのが141%。紙の面積が半分とか2倍のときのズーム率です。だから71%というのは1/√、141%というのは√ということです。
閑話休題、なぜ交流はピークの71%を電圧にしているのでしょうか。結論を書けば、正弦波交流(家庭に送られているsinカーブで電圧の変化する交流)は、電圧のピークが141Vのとき、直流100Vと同じエネルギーになるからです。そうすれば直流でも交流でも同じ仕事をさせたときの換算が不要になります。
左側の図が電圧と電流の変化をグラフにしたものです。図の上下の中央が0V、0Aで、左から右に時間が進んでいきます。上のほうで横にまっすぐなのが直流、sinカーブになってるのが交流です。これは“交流と直流”のページでも見たものです。右側の図が電力の変化をグラフにしたものです。
例えば100V、1Aの状態を式で書くと、

E=100 そして I=1(直流)
E=100×√×sin(t) そして I=√×sin(t)(交流)

ですから、

P=E×I=100×1=100W(直流)
P=E×I=100×√×sin(t)×√×sin(t)=200×sin2(t)=200×(-cos(2t)+1)/2=-100cos(2t)+100(交流)

これを積分しようと思ったのですが、三角関数の積分は私の現在の知識では手におえません。右の図の右斜線部分と左斜線部分の面積が同じだということは見てわかりますね。つまり、正弦波交流のピーク電圧を直流の141%にするとどちらも同じ電力になリます。交流の電力(エネルギー)は、ピークの71%の電圧の直流と同じなので、それを交流の電圧と呼ぶことにしたわけです。
ついでに書くと、この71%の値を“実効値”といいます。記号では“rms”で、“root mean square”の略と習いました。“2乗した平均の平方根”という意味です。

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