モータ(誘導電動機)
「交流と直流」のページで“(交流は)ごくカンタンなしくみでモータを回すことができます(理論上は)。これらについては、別項目で詳しい蛇足を書くつもり”と書いてからずいぶん経ってしまいました。さすがにそう何年もほかってはおけないので、ちょびちょび書いてみましょう。
モータで一番なじみの深いのが直流のモータだと思います。模型工作をしたことのある人なら“マブチモーター”がモータの代名詞になっているでしょう。小学校の理科の時間にも同じ原理のモータ工作をしているはずです。
ということで(どういうこと?)直流モータの話は長くなるので別のページにしたいと思います…なぁんて予告するから自分の首を絞めてるようなものなんだけど。とりあえずこのページでは、予告してあった交流モータ、その中でも一番ポピュラーな誘導電動機を取り上げます。
回転できる磁石のまわりに固定されたコイルを置き、電流を流してみましょう。交流は時間によって電圧(電流)の大きさと向きが変わっていくので、コイルによってできたNとSが時間によって入れ替わり、中の磁石を回すことができます。
原理はこれだけです。実際には、中で回っているのは磁石ではなく、カゴ状になった金属です。原理はややこしいのですが磁石と同じ働きをするわけです(アラゴーの円板とか、フレミングの右手・左手の法則とかが登場します。どうしても詳しく知りたい人はネットで探してみてください。正しい知識が得られると思います。)。
また、1つの交流では磁石のNとSが交互に入れ替わるだけなのでモータは右に回るのか左に回るのかわからなくなってしまいます(左図)。回転方向を決めるために3組の交流を使って、コイルを120度ごとに並べておきます。そうすれば1ヶ所がNになったあと、次にNになるのは残り2つのうちの片方なので必ず回転方向が決められます(右図)。頭いいですね。
これが(たぶん)工場などで最もよく使われている誘導電動機の原理です。おしまい。というくらいカンタンなしくみなので普及しましたが、原理的に回転数を厳密に管理できないため、最近の産業ではあまりメジャーなモータではなくなっているようです。
と思ったら、VVVFによって回転数やトルクを厳密に制御できるようになりました。安価で構造の簡単なモータ(つまり故障しにくく、故障しても復旧がたやすい)がまた大活躍しているそうです。