ある政治学者の休暇

アシャギ(コラム)

琉球新報朝刊: 1989年(平成元年)9月3日

 国内はいうまでもなく世界各国を駆け回っている日本を代表する政治学者のひとり白鳥令さん=写真=がこのほど沖縄を訪れた。
 白鳥さんは沖縄の基地問題、政党政治に関心をもち、復帰前から来沖を重ねている。五十歳前半でありながら、独協大学の名誉教授を務めており、沖縄にもたくさんの教え子がいる。現在は東海大学政治経済学部長、同社会科学研究所長、日本政治総合研究所会長の肩書きを持つ。東海大学には五百人の県出身者がいることから、県出身者達の父母との後援会に参加するために来沖した。
 ワシントンから帰り、自宅で一泊して休憩もとらずに沖縄入りしたが、出張の合間に時間を見付け、恩納村のビーチに操り出し、ハイレグの水着姿のギャルたちに交じって水泳を楽しんだ。
 その間も政治学者として気になることがあるらしく、「アメリカのベトナム戦争での敗北は、われわれが予想しているよりダメージが大きく、いまだに立ち直れないでいる。アジアでの駐留を断念し、代わりに中南米とのかかわりを強くしていくだろう。ただ、沖縄はそれに当てはまらないかもしれない」と、独自の分析をする。また、衆院の解散をにらんだ県内政局にも関心を示し、詳しい人から情報を集めていた。