最近読んだ本

2002年8月から無性に活字が恋しくなって以来、ずっと本を読み続けてます。TVや雑誌とは違って、想像の中で進むストーリーはとても新鮮だし飽きることがありません。ここでは、私が読んだ本を紹介します。
読む本は村上春樹が中心ですが、面白そうな本であればジャンルを問わず読み漁るのが自己流です。

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2003.08.31 コーナー立ち上げ。昨年夏から読み続けている本のレビューです。基本的には読みやすい本、話題になった本を読んでます。このレビューを見て、私も読みたくなったって思ってもらえればいいですね。

タイトル
作家
ジャンル
紹介(出版社広告文より引用)
感想
2006年

波のうえの魔術師

石田衣良 小説 内容(「BOOK」データベースより)
あの銀行を撃ち落とせ! 謎の老投資家が選んだ復讐のパートナーはフリーターの〈おれ〉だった。マーケットのAtoZを叩きこまれた青年と老人のコンビが挑むのは、預金量第三位の大都市銀行。知力の限りを尽くした「秋のディール」のゆくえは……。新世代の経済クライムサスペンスにして、連続ドラマ化話題作。
池袋ウェストゲートパークを書いた著者。ライブドア事件で聞いた”風説の流布”も取り上げられていて、どういうことかわかります。
2005年

水煮三国志

成君億 ビジネス  
 

三国志
(1〜30巻)

横山光輝 歴史 内容(「BOOK」データベースより)
桃園の誓いから五丈原、蜀漢の最後まで、巨匠横山光輝が万感の思いを込めて描き切った大河ロマン。
 
顔−Face− 横山秀夫 小説 内容(「BOOK」データベースより)

「だから女は使えねぇ!」鑑識課長の一言に傷つきながら、ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。瑞穂が描くのは、 犯罪者の心の闇。追い詰めるのは「顔なき犯人」。鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。
 
1
ふしぎな図書館 村上春樹 短編小説

内容(「BOOK」データベースより)
村上春樹と佐々木マキが贈る 大人のためのストーリー 魅力溢れる絵
ぼくは「図書館」から、脱出できるのだろうか?懐かしい“羊男”も登場!

「いかような本をおさがしになっておられますかな、坊ちゃん?」「オスマントルコ帝国の税金のあつめ方について知りたいんです」とぼくは言った。老人の目がきらりと光った。「なあるほど、オスマントルコ帝国の税金のあつめ方、ですか。それは、ああ、なかなか興味ぶかい」

-読み終え-
2004年
5
取引 真保裕一   内容(「BOOK」データベースより)
公正取引委員会の審査官伊田は汚職の嫌疑をかけられた。何者の策略に嵌り事件に巻き込まれたのだ。ある所からの誘いによって彼はフィリピンへ行くことになる…。ODA(政府開発援助)プロジェクトに関する談合事件をマニラで調査する伊田の身に危険が迫る。期待の乱歩賞作家が放つ長編推理サスペンス。
-読み終え-
4
ザ・ゴール
企業の究極の目的とは何か
  ビジネス
小説
企業のゴール(目標)とは何かアメリカ製造業の競争力を復活させた、幻のビジネス小説。TOC(制約条件の理論)の原典。

ビジネス書であるにも関わらず、とても読みやすい小説になっています。それでいて「全体最適」の考え方がもりもり詰め込まれています。今の仕事に通ずる内容の本だけに、最後まではまりました。

この本はアメリカで出版以降、17年間も日本での販売が認められなかったそうです。あとがきを読むと、、「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」と書いてあります。本当か冗談かわかりませんが(笑)、でもその言葉を聞いても納得できる内容だと思います。

3
アフターダーク 村上春樹 長編小説 真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。
「風の歌を聴け」から25年、さらに新しい小説世界に向かう村上春樹書下ろし長編小説

マリはカウンターに置いてあった店の紙マッチを手に取り、ジャンパーのポケットに入れる。そしてスツールから降りる。溝をトレースするレコード針。気怠く、官能的なエリントンの音楽。真夜中の音楽だ。(本文より)

待ちに待った村上春樹の新作。今回の主人公は"僕"でもなく人間ですらない"視点"。こういう作品は初めてです。
内容としては哲学的ですが、著者の新しいことに取り組もうという姿勢がひしひしと伝わってきたし、25年目に入ってより洗練された表現に、一気に読み終えました。
2
マークスの山 高村薫 長編小説 昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した―精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークスが跳ぶ。元組員、高級官僚、そしてまた…。謎の凶器で惨殺される被害者。バラバラの被害者を結ぶ糸は?マークスが握る秘密とは?捜査妨害の圧力に抗しながら、冷血の殺人者を追いつめる警視庁捜査第一課七係合田刑事らの活躍を圧倒的にリアルに描き切る本格的警察小説の誕生。
狂気的な殺人鬼を追う展開よりも、警察という特殊な組織の中で苦悩しながら事件解決へと走り続ける主人公に惹かれた本でした。
組織特有の専門的で閉鎖的な世界を描いているだけに、読みづらい部分はあるのが難点。
1
沈まぬ太陽
(一) アフリカ篇・上
(二) アフリカ篇・下
(三) 御巣鷹山篇
(四) 会長室篇 上巻
(五) 会長室篇 下巻
山崎豊子 長編小説 日本を代表する航空会社の凄まじいまでの腐敗。85年の御巣鷹山事故の衝撃を出発点に、その内実を描いたノンフィクション・ノベル。全5巻の大作ながらベストセラーになった。労組活動を「アカ」呼ばわりされ、海外の僻地勤務を命じられた主人公・恩地に、リストラ社会を生きる人々の共感が寄せられたのが一因だろう。だが、もっと重要なのは、だれもが知るあの会社をモデルに実在人物をも特定できる形で汚点を紡いだ「蛮勇」ではないか。たとえ事実と創作の混線ぶりが気になるにしても。「白い巨塔」の財前や「不毛地帯」の壹岐でなく、企業内で黙々と働く恩地が英雄という閉塞時代に、私たちはいる。
白い巨塔のリメイクで再び注目されている山崎豊子の作品。
まだ記憶に鮮明に残る日航ジャンボ機墜落事故の裏側を、実在した人物を主人公に書き下ろした渾身の小説といえます。ほぼノンフィクションと言われていますが、読み終えた後でも正直信じられないほど主人公は衝撃的な半生を過ごしています。そしてその裏側にあるずさんな経営体系と執拗なまでに主人公を追い詰める腐りきった企業体質・・・
ぜひ一読して欲しい本です。
2003年
8
バースデイ・ストーリーズ 村上春樹 短編小説集 「誕生日」をモチーフにした英米文学の短編小説を、村上春樹が選出し、翻訳、編集したアンソロジー。レイモンド・カーヴァーやポール・セローといった、村上ファンには馴染みの深い作家から、イーサン・ケイニンやデイヴィッド・フォスター・ウォレスなどの新進気鋭の作家作品まで、「この十年くらいのあいだに発表された、活きのいい」(「訳者あとがき」より)佳品10編が並んでいる。さらに、村上自身による書き下ろし短編「バースデイ・ガール」も収録。村上作品や現代英米文学の入門書としても最適な1冊となっている。

村上春樹の翻訳とはいえ、やっぱり海外の小説となるとなかなかその話にのめり込めないんですよね。。村上春樹書き下ろしの短編バースデイ・ガール」は面白かったけど、他の作品は、うーん、自分はまだその領域まで行けてないって感じです。

7
レベル7 宮部みゆき 長編小説 レベル7まで行ったら戻れない――。謎の言葉を残して女子高生は失踪した。記憶をすべて失った状態で目覚めた若い男女の腕に浮かび上がったのは「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと、自分たちがいったい何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけなかった凶悪な殺人事件へと導かれていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間!

非現実の世界を描きながらも、非現実に思わせない書き方はさすがです。読み応えのあるミステリーで、クロスファイアが面白いと思った人は、この小説もはまるはずです。
6
火車(かしゃ) 宮部みゆき 長編小説 休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

カードは自分も使うんですが、ちょっと気が緩むとあっという間に利用額が増えちゃうものなんですよね。。。他人事とは思えない内容だけに、読みやすく入り込みやすい内容でした。
5
いのちの風 小説・日本生命 高杉良 企業小説 35歳で課長!同期のトップをきったエリート商社マンの広岡。将来を期待されながら、日本生命の社長である父に請われて日生入りする…。生保業界に新風を起こした男の半生。
実在した人物をモデルに書いたらしく、その行動と判断力はまさに感服です。でも何かをを変えるということは本当にパワーが要るんですよね。たとえそれがちょっとしたことでも、変えるまでの悩みと変えた後の悩みは付きまといます。なんだか自分の仕事にちょっとかぶっている気がしてのめり込んだ本でした。
4
The Catcher in the Rye J.D.サリンジャー
村上春樹訳
青春小説 J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として40年ぶりに生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳であり続けるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。さあ、ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。
「ライ麦畑でつかまえて」。有名なのに、私は始めて読みました(笑)。
村上春樹の高い文章能力には感心させられるけど、初めてライ麦畑を読んだ感想としては、無性にイライラする内容でした、主人公の少年がとても屁理屈で・・・。これがあの名作と言われるライ麦畑なの?って拍子抜けした内容でした。英語文学としては高いのかも知れませんが。
ただ、サリンジャーは32歳でこの小説を書いたことを考えると、その歳で16歳の少年の心をあれだけリアルに書ける表現力は単純にすごいです。
3
華氏451度 レイ・ブラッドベリ SF小説 華氏四五一度とは紙が自然発火する温度――その世界の法律が禁じた本を見つけしだい焼きすてる自分の任務に少しも疑問を抱かなかったモンターグが、はじめてもった恐るべき秘密とは? 未来を詩の心でうたうSFの抒情詩人が、その持つ感受性と才能のすべてをうちこんで結晶させた不朽の名作!
知識は人を考えさせ、法律や規則を破る行動につながるという理由から、本を読むどころか、所持することも許されない世界。何も考えない世界ほど面白くないものはないです。
2
対決 高杉良 企業小説

若手ホープVS陰の首領(ドン)。社を牛耳る極悪人──。抛っておくか、叩きのめすか。

中央化学工業社長・島崎が急逝した。社を牛耳り“天皇”と畏れられる労組委員長・久保田剛造は、自身の勢力確保のために、メインバンクからの出向人事をゴリ押しする。一方、社の前途を憂う前社長・吉川は、久保田に反旗を翻し、通産省OBの三田佳夫を次期社長に据え、若手ホープ・小津頼介を三田の懐刀に迎えた──。トップ人事を巡る裏工作がめまぐるしく展開する迫真の経済長編。

高杉良の小説は、実在する会社で実際に起きたことをベースに小説を書いているらしく、登場人物などはフィクションでありながら、ストーリーはノンフィクションと言う独特な文体を持っています。
1
クロスファイア(上・下) 宮部みゆき 長編小説 四人の若者が廃工場に瀕死の男を運び込んできた。その男を“始末”するために。目撃した青木淳子は、力――念力放火能力(パイロキネシス)を放ち、三人の若者を炎上させる。しかし、残る一人の若者は逃走。淳子は、息絶えた男に誓う。「必ず、仇はとってあげるからね。」・・・
久しぶりにハマって読んだ小説。超能力の話でありながら妙に現実味のあるストーリー展開に時間を忘れて読み込んでしまいました。お世辞抜きで面白い小説です。早く「模倣犯」も単行本化されないか楽しみです。
2002年
14
金正日暗殺指令 落合信彦 小説
(フィクション)
「民族統一のため金正日を暗殺せよ!」金親子の確執に揺れる北朝鮮をめぐって中・韓・米の情報戦を描く、臨場感溢れる長編小説。

 1993年、中国国家安全省と金日成の最高顧問が韓国国家安全企画部に極秘裏に接触。金日成が息子の暴走を止めるために韓国亡命を望んでいるという。韓国側は真偽のほどを確かめるため、「金正日暗殺」を逆提案した。答えは「イエス」。そして元米軍特殊部隊の主人公・小暮譲二ら傭兵部隊の暗殺作戦は始まるが……。金日成主席の晩年から迷走し始めた北朝鮮を巡る、各国の思惑を知る上でも役に立つ小説である。

話題に事欠かない北朝鮮の金ちゃんを題材とした、落合節のきいた小説。なんてったってジョンイルくんを暗殺しようと来たもんだ。タイトルだけで拉致されそうです。内容はハードボイルド風で、文体も軽く書かれているので一気に読めるけど、最後はラブストーリーで終わっちゃうのが残念。(思い内容をストーリーでカバーしようとしているのは感じますが、、、)
落合信彦と言えば辛口国際ジャーナリストで、このストーリーも数え切れない調査から彼なりに裏付けたものをベースに書いているのは伝わってくるけど、それでもどうしても、ジャーナリストは小説家ではないと感じずにはいられない本でした。
13
もし僕らのことばがウィスキーであったなら 村上春樹 旅行記
シングル・モルトを味わうべく訪れたアイラ島。そこで授けられた「アイラ的哲学」とは? 『ユリシーズ』のごとく、奥が深いアイルランドのパブで、老人はどのようにしてタラモア・デューを飲んでいたのか? 蒸溜所をたずね、パブをはしごする。飲む、また飲む。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そして、たしかな誇りと喜びをもって生きる人々――。芳醇かつ静謐なエッセイ。
 
12
世界の終わりとハードボイルドワンダーランド(上・下) 村上春樹 長編小説

私が一番オススメする本
「私」は、地下の秘密研究室に呼ばれて重大な事実を知る。一方、高い壁に囲まれた不思議な街の図書館で、頭骨に記憶された古い夢を読み続けるもう一人の「私」……隠された秘密を巡って同時進行する幻想世界と冒険活劇。二つの相異なる物語が合わせ鏡のように展開する長編小説。村上春樹、80年代の記念碑的作品!
村上春樹本の中で個人的に一番好きです。純粋に面白い!ストーリーは[世界の終わり]という幻想的な話と[ハードボイルドワンダーランド]という冒険活劇っぽい2つの相反する話が、章ごとに代わる代わる進んでいきます。こういう書き方の小説はこの本以外見たことがありません。
最初はまったく世界の違う話であるのに、話が進むにつれて少しずつリンクしていくと一気に惹き込まれます。
個人的に、生まれてこの方読んだ本の中で一番の作品なので、村上春樹を始めて読む友人にオススメしている本です。
11
ダンス・ダンス・ダンス(上・下) 村上春樹 長編小説

鼠三部作の続編

【上】『羊をめぐる冒険』から4年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。70年代の魂の遍歴を辿った著者が80年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。

【下】失なわれた心の震えを回復するため、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで――。そこではあらゆることが起こりうる。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スター、そして幾つかの殺人が――。デビュー10年、新しい成熟に向かうムラカミ・ワールド。

鼠三部作の続編に位置する小説です。ベストセラーとなったノルウェーの森の後に発表された作品のためこの作品もかなり話題になりましたが、読むのであれば是非鼠三部作を読んでから読んでほしい本です。
10
アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス  
ドラマにもなりました。ドラマも面白かったけど、原作は数倍面白いです。経過報告という主人公の報告書が話を進めます。知的障害を持つ人が突然健常者になったら・・・。とても考えさせられる本でした。読みやすいので一読の価値ありです。
9
蒼穹の昴(上・下) 浅田次郎 長編小説
「鉄道員(ぽっぽや)」で一躍有名になった浅田次郎の傑作の一つ。
8
羊をめぐる冒険(上・下) 村上春樹 長編小説

鼠三部作の完結作

【上】あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている21歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい〈鼠〉の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

【下】美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持っているという1頭の羊と〈鼠〉の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。1982年秋、僕たちの旅は終わる。すべてを失った僕の、ラスト・アドベンチャー。村上春樹の青春3部作完結編。野間文芸新人賞受賞作。

春樹ファンに"村上春樹で好きな本は?"と聞けば8割は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」か、この「羊をめぐる冒険」と答えると思います。それだけこの小説のストーリー展開に飽きは感じさせられません。
鼠三部作の最終章となるこの本は、風の歌を聴けから順に読めば面白さは倍増です。村上春樹本の中でオススメしたい本です。
7
1973年のピンボール 村上春樹 長編小説

鼠三部作の第2作目
僕たちの終章はピンボールで始まった。雨の匂い、古いスタン・ゲッツ、そしてピンボール……青春の彷徨は、序章もなく本章もなく、いま、終わりの時を迎える。新鋭の知的で爽やかな’80年代の文学。
この倉庫での彼女(ピンボール)との邂逅場面の清潔な甘美さと知的なセンチメンタリズムは上等でとても筆舌に尽くし難い。さらに重要なのは、〈僕〉がその体内にとりこんだピンボール・マシン=外国との、やさしく堂々とした結着のつけ方である。希望、絶望、おごり、へつらいなど、いかなる色眼鏡もなく、この20世紀のコッペリアと一体化し、そして突き離しながら、〈僕〉は、自分と彼女がどう関わり合っているかをたしかめる。こうして〈僕〉はゆっくりとした歩調を保ちながらなにものかになって行くのだ。主人公が海外渡航しない「海外渡航小説」の、これはみごとな収穫といえるだろう。──井上ひさし(朝日新聞文芸時評より)
鼠三部作の2作目。主人公は"風の歌を聴け"と同じ"僕"。僕を取り巻くとても乾いた世界に惹き込まれます。私が17歳で初めて読んだときはとてもだらだらとしたフランス映画のような印象で、面白さを感じなかったけど、29歳になった今読むと妙に味わい深い内容に感じました。
ちなみに1973年は私が生まれた年でもあるので、妙に親近感がある小説です。
6
風の歌を聴け 村上春樹 長編小説

村上春樹
処女小説
1970年の夏、海辺の街に帰省した〈僕〉は、友人の〈鼠〉とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、〈僕〉の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。
村上春樹の処女作。"僕"と"鼠(という僕の友人)"のストーリー。著者独特の世界があります。鼠三部作と言われる初期の一作目です。
海辺のカフカを読み終えた後、もう一度年代順に村上春樹を読みたくなって読みました。
処女作にもかかわらず、作者の世界はすでに完成されている感があります。ほかの作者にはない独特の文章が私は好きです。
5
海辺のカフカ(上・下) 村上春樹 長編小説
誕生日の夜、少年はひとり夜行バスに乗り、家を出た。生き延びること、それが彼のただひとつの目的だった。一方、ネコ探しの名人であるナカタ老人も、何かに引き寄せられるように西に向かう。暴力と喪失の影の谷を抜け、世界と世界が結びあわされるはずの場所を求めて――。村上春樹待望の書き下ろし長編小説。
3年ぶりの長編小説。作者の、読者を飽きさせないテクニックはどんどん高くなっています。今まで僕という一人称の主人公で書かれてきた中で、今回は三人称で書かれていて、雰囲気に新しさがあります。久しぶりに読み応えのある小説でとても満足です。
ただ、気になった点を言えば、出てくる場面の節々に世界の終わりとハードボイルドワンダーランドを連想させるものが多かった。それが村上春樹の得意な世界ともいえるけど、それにしても重なりすぎです。でも本自体は気になった点を十分にカバーしつくすほど面白いです。
村上春樹を始めて読む方にはちょっとオススメできないように思います。(それだけ完成されちゃってる・・・)3冊目以降であれば絶対に読んで欲しい本です。
4
変身 カフカ 小説
ある日目が覚めると自分がイモ虫になっているという非現実的な内容にも関わらず、淡々と進む話を読んでいくと、現実の話のように思えてきます。畳み掛けるように描写する力強い文章はさすがカフカと言ったところ。
とても気味の悪い内容だけど、最後まで読みたくなる本です。
3
回転木馬のデッドヒート 村上春樹 スケッチ
現代の奇妙な空間――都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それらはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人……、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。
一般的に短編小説集と呼ばれているが、中の話はすべて事実をもとに文章化されたもので村上春樹自身は"スケッチ"と読んでいます。書かれた話はすべて奇妙で独特な世界を持っていて、事実とは思えません。
特に「嘔吐1979」は、毎日吐き続けた人物が題材となっていてとても印象的。
2
カンガルー日和 村上春樹 短編小説集
時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。
村上春樹ファンになったきっかけの本。中でも「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」はタイトルだけで読みたくなりません?ちなみにこの短編は8ページしかないんです。しかも面白い。
「あしか祭り」も村上春樹っぽくてオススメ。タイトルだけで読みたくなるもの満載です。
1
村上春樹堂はいかにして鍛えられたか 村上春樹
安西水丸
エッセイ
裸で家事をする主婦は正しいのか? あなたの空中浮遊の夢はどのタイプ? 読者から多数の反響を呼んだ「通信」シリーズを筆頭に、「真昼の回転鮨にしかけられた恐怖の落とし穴」「宇宙人には知られたくない言葉」から、苦情の手紙の書き方、学校の体罰の問題まで、世紀末の日本を綴ったエッセイを水丸画伯のイラストがサポートする、名コンビ「村上朝日堂」シリーズ最新作!
週刊朝日に連載していたエッセイ。とても軽く書かれていて読みやすい。中でも「裸で家事をする主婦は正しいのか?」は必見。「学校はどうもあまり好きではなかった」も内容がその通りとうなづける。村上春樹の感性を手軽に味わえる本。