ローター・ザイフェルト
ザイフェルトにも良い弓がありますが、これもフレッチナーと同様で、今販売されている物は、はっきり言ってよくありません。
かつて、フレッチナーが、だんだん手に入りにくくなった頃、その代わりと言っては何ですが、茶木におかれるようになった物には、フレッチナーと似たキャラクターを持っている、素晴らしい弓がありました。
当家にも、ひょんな事から手に入ったものが1本ありますが、反応、音色とも申し分ありません。
デーリンク
デーリンクには、クルト、ベルント、オットーがあります。
かつてシュトライヒャーはオットーを用いていました。
オットーとベルントは実は同じ作者で、当時オストの製作・輸出用の弓の材料には割り当て数量が決められていたので、父の名前を使って、多くの弓を製作していたとの話を聞いたことがあります。
私は、現在、デーリンクを持っていませんが、ドレスデン・シュターツカペレのソロ・バス、ボルヒマン氏から譲っていただいたクルトはかなり良い弓で、現在、私の友人が用いています。
また、NDRのソロバスで現在リューベックの音楽院の副学長であるイエルク・リノヴィツキー氏から、いただいたクルトも有りましたが、これも現在私の友人が使っています。
また、オットーは1本、ベルリン・シュターツカペレのプレイヤーから譲ってもらい、一時主力で使っていましたが、後に、この弓は、楽器屋さんに譲りました。(特徴があったので、その後新日の柴田氏と一緒に弾いたとき彼が使っているのをみたことがあります。)
エミール・ウシャー
この弓は、結構有名な、フランスの弓です。
フレンチですから、通常見られるウシャーのコントラバスの弓も、当然フレンチスタイルです。
しかし、私が持っていた、ウシャーは、フレンチ・ボウにジャーマンのフロッシュを付け替えた物でなく、最初からジャーマン・ボウとして作られた弓です。
ウシャーは、フランスからアメリカ大陸に渡りましたので、その後、ジャーマン・ボウを用いる奏者の依頼により、特に製作したものと思われます。
細身ですが、木はコントラバスの弓としては、しっかりしすぎるくらい密度があり、音はなめらかで、コントラバス特有のシャリシャリした、ノイズっぽい音が全くでないほどきれいです。その分、オーケストラで用いるには、迫力にかけるきらいがないでもありません。現在この弓は、読響の西澤誠一氏がフロッシュをフレンチに付け替え、ソロ・室内楽で使用しています。