BOGEN?
 19世紀に活躍したボッテジーニというコントラバスの超名人は、3本の弦を持ったコントラバスを使っていましたが、このボッテジーニという人は、ヴェルディのオペラ「アイーダ」の初演の時の指揮者でもあります。(ちなみにアイーダは、あのスエズ運河の開通2周年祝いで初演されました。)
 現在、イタリア、フランス、ベルギー、オランダ、英米などでよく使われているフレンチ・スタイルの弓(チェロのような形の弓)は、実は彼が広めた最初の人物です。
 18世紀にヴァイオリンの弓で有名なトルテが、今日のヴァイオリンの弓を完成させましたが、この型の弓をコントラバスでも使おうという議論が、1827年にパリのコンセルヴァトワールでなされました。
当時の世界的バシストが集まったこのゼミナールでも、フレンチではコントラバスの力をフルに出せないという結論となり、より完全なスタイルの弓を考案しようという意見になったそうです。(この理想の弓が現在のジャーマン・ボウだという説もあります。)
 しかし、この弓をボッテジーニが見事に使いこなすようになってからフレンチ・ボウが広まったのです。

 コントラバスの弓には、このフレンチ・スタイルの弓の他に、ジャーマン・スタイルの弓もあります。
ジャーマン・ボウは、フレンチの弓と比べ、弓の竿の太さは細く、弓の毛の長さは長く、毛箱(フロッシュといいます)は大きく、値段はやすい(?)という特徴があります。
 演奏法も、フレンチがチェロのように弓を持ち演奏するのと異なり、このジャーマン・ボウは、弓の竿の上に親指(シュトライヒャーのように人差し指で圧力を加える場合もありますが)だけを乗せて、そこで圧力を弦に加え、手の甲は竿の下の大きなフロッシュに添えて左右に動かすという、他の弦楽器と異なる奏法となります。
 日本では、ドイツやオーストリアのように、このジャーマン・スタイルが一般的で、メジャーのオーケストラでフレンチ・ボウで演奏しているのは、N響の今野氏、元読響の津田氏(喜多氏は両刀使いなので、時々フレンチでも弾いています。)新日の安保氏、フランクフルトオパーの野田氏、フリーでは、斉藤輝彦氏位でしょうか?最近は、都筑道子さんもフレンチを使っていますね。(タンゴはのぞく)
 新ヴィヴァルディの大西氏は、ジャーマン・スタイル(彼は普通のジャーマンスタイルでなく、弓を親指と人差し指の間の又に深くいれず丁度人差し指の付け根あたりに弓の竿が乗るようにし、親指が竿と直角に近い角度となって、親指の腹の部分で重みをのせて演奏する、ベルリンフィルの元主席のツェッペリッツスタイルですが)の奏法で、フレンチ・ボウを使っていました。
読響の若手高山氏もときどきフレンチ・ボウをジャーマンスタイルで演奏しています。
アドリアノ・マッサーリ
マッサーリ氏は、ボローニャ歌劇場の現役コントラバス奏者で、ヴァイオリンからコントラバスまでの弦楽器と弓も製作しています。特に弓づくりがうまいようです。
名前や、所属オーケストラからわかるとおり、彼はイタリア人。
従って彼の作るコントラバスの弓もフレンチ・スタイルの物でした。
彼のフレンチ弓が良かったので、彼が来日した際に、私の持っていた、ジャーマンスタイルの弓を見せ、それをモデルとして、特にジャーマン・ボウを作ってもらいました。
その最初に作ったジャーマン・ボウも素晴らしい出来でしたので、以来、彼に弓の製作をお願いしている訳です。
製作本数がごく限られていますので、現在、マッサーリ氏のジャーマン・ボウを使っている演奏者は、読売日本交響楽団の星秀樹氏(ソロバス)、増山一成氏、東京フィルハーモニー交響楽団の吉川英幸氏(ソロバス)、菅原政彦氏、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の津島彰彦氏等です。
桐朋や武蔵野の学生も、最近この弓を使っている人が増えています。
A.フラカッシ
最近入手した、イタリアの弓で、現在主力で使用しています。
シュピッツはペカットをモデルにしていますので、かなり特徴的です。
製作者のフラカッシは既に無くなった方ですが、トルテやペカット、ビネロン等の本当のフレンチの名弓はあまりに高額で手に入れることはできない奏者がよく用いている、オールドではないものの、かなり上位のクラスに入る弓で、イタリアのバス奏者では結構著名な弓だそうです。(かつて読響に在籍していた横山氏も用いていました。)
フレンチスタイルの弓にしては、弓の長さはかなり長くてジャーマンに近いものがあるので、重さも150グラム近くあります。
シュピッツが大きいので、バランスも先調子ですが、音色が素晴らしいのと、弓の反応と重さがよいため、スピカート時も、ジャーマンにありがちな、子音だけの音にはならず素晴らしいものです。