ネック(Neck)
ネックは楓や樫等によって作られる。ネックに関しては外見よりもまず第1に、反ったりねじれたりしないような充分な強固さが必要であり、樫は非常に安価であるが割れやすく楓に比べて劣る材である。(なお、樫の表面を赤く塗って楓にみせかけた物もよくあるので注意されたい。)
一般に肩、糸巻箱、渦巻は全て1つの木片からとられる為に、ネックブロックは充分に大きな材でなければならない。ネックの肩の部分に組み木を用いた物もあるが、これはこの部分の耐久力を弱めるのみならず、外見をも悪くするものである。
駒は、弦の振動を楽器全体に伝えるという非常に重要な役割を果たしており、普通楓材でできている。楽器の生み出す音のバランスや音質は全て、駒の厚さ、高さ、表板と駒の足との正確な設置が極めて重要である。
演奏する時の気分により駒の位置を変える奏者もいるが、これは正しくない。この点に関し Heron Allenは次のように述べる。
「駒の大きさ、その置かれる位置は全て楽器の質に合わせられねばならない。駒の厚さが厚すぎると振動が表板によく伝わらないし、高さが高すぎると音色は弱く鈍く、低すぎる時は音がかすれる。」
Ottoは、チェロやバスの最も好ましい駒の高さと胴長の比は65:492であるとしている。駒の足の置かれる位置は、それによって音質や反応が変化する為極めて重要である。特別なサイズのバスの場合、その弦長を考慮する為、駒の置かれる位置は変化するが、通常はヴァイオリン等と同じ様に、駒はF孔の切れ目をつなぐ先の上に置かれる。従って駒が魂柱の位置に合わせられるのではなく、駒が魂柱の位置を決定するのである。
その他の付属品
その他の部品、指板、テールピース、ナット、エンドピンソケットには黒檀が最適の材となる。黒檀は緻密、堅固でなかなかすりへらず、長持ちするためである。特に指板はビブラートをかけるために表面に凹凸が出来やすく、是非とも黒檀のものを用いるべきである。商業ベースにのった安価なバスの指板には柔らかい材質の木が用いられており、その表面は黒く塗装されたり、薄い黒檀の層が張られていたりする。これらの指板はすぐに使い物にならなくなるので、注意すべきである。(たとえ、どんなに良質の指板でも、時々凹凸をなくす為に削って修理されるのである。)
指板の表面は駒のアーチに従い凸状になっているが、それを縦にみると(楽器を横からみると)かすかに凹状になっている。これは弦の指で押さえる所と駒との間だにおいて弦が指板に触れて雑音を発するのを防ぐ為である。
黒檀より少し柔らかい紫檀や柘植は、指板には適さないが他の部品には適している。しかし、外見を考慮すれば同種の黒檀を用いたほうが良いと思える。
テールピースとエンドピンソケットを締めるものにはワーヤーケーブルが最適である。ワイヤーケーブルはガットより強く耐久性に富み、通常のワイヤーよりも柔軟性に富む為である。
 エンドピンは、調節が効き滑り止め用のゴムのついた金属製の物が良いと思える。
木製のエンドピンの付いた楽器もあるが、長年の使用によりエンドピンが曲がり、高さ調整がしにくくなる。また、密度の点からも木よりも金属のほうがベターだろうか?
金属では、鉄、アルミパイプ、チタン、タングステンなどが用いられているが、通常は直径1pの鉄製の物が多く用いられている。