糸巻
1778年Bachmanによって今日用いられているギアの付いた糸巻が発明されるまでは、木製の糸巻が用いられていたのであるが、バスにとってこれはあまり実用的なものではなく、現在ではアンティークなヴィオローネのみに、この木製糸巻が見られる。昔の糸巻はギア付きの物も殆ど手製で粗雑につくられた物が多く、これらを用いるとすぐに弦は下がってしまう。
現在最もポピュラーな物は一枚の金属板に二組のホィールとスクリューが取り付けられている物で、このタイプには大別して次の3種がある。
1.最も安価 塗られたりニッケル仕上げの成されている物
2.中程度  真鍮あるいはブロンズ製、彫りが施されている物
3.高級 1つ1つの弦に別個の金属板がありブロンズの仕上げが非常に丁寧になされている物
ニス
弦楽器の木材の仕上げに際して用いられるニスは、乾燥しても柔軟性がある為に欠けたりしないオイルの物がアルコール性の物より優れているとされている。
古いヴァイオリンに用いられたニスについては種々の意見が述べられ、議論の的となってきた。(この点については「ヴァイオリンの銘器」等の著書を参照されたい。)良いニスとは楽器の美しさを増すのみでなく、木を保護する物なのである。イタリアの巨匠の作ったバスに用いられているニスが、バスよりも小さな楽器に同じように用いられているということは非常に興味深い事である。
弦楽器は弦が無ければ何にもならない訳で、弦についても様々な事が書かれており、よってここでは極わずかの事実についてのみ触れる事とする。
現在は数多くの素材、又は複合素材が弦として用いられているが、その中で最も長い歴史を持つ物がガット−ガットだけのもの、もしくは金属製のワイヤーを巻いている物−であり、、数世紀にも渡って使われてきた。今日多くのバス奏者は、クロームスティールや幾本ものワイヤーを束にした物の上にクロームをかけてある弦を用いているが、これは耐久性が良く、温度や湿度の変化のために生ずるピッチの変化が少ない為である。
ピラストロ社のオリジナル(フラットクロームスチールコア、フレクソコア)、ヤーガー、コレッリ、ダダリオ(ヘリコア)などがクラシック演奏にはポピュラーで、ジャズなどにはこれより柔らかいスピラコア等が用いられている。
他の高音弦楽器ほどではないにしろ、バスの弦にもかなりの負担がかかっており、それは極限すれすれまで引き伸ばされている物であるから、楽器にはきちんとあった良い弦を選択する事が重要である。