ベルリンのオーケストラ
ベルリンでは、東京と同じように、数多くのオーケストラが活動しています。
しかも、その水準はどれも極めて高いのです。
(バレンボイムの発言は、自分の独断と偏見によるものと思います。)
私は、壁が崩れた後、毎年ベルリンでクリスマスから正月を過ごし、毎晩コンサートに通い、その音楽を堪能しています。
今週のベルリンの演奏会情報
ベルリンフィル
実力はなんといっても世界で一番でしょう。ロストロポービチの指揮した、ジルベスターコンサートでの、チャイコフスキーの幻想序曲ロメオとジュリエット、そのポザウネンをものともしないコントラバスの音量の凄まじさに、これは我々と別世界だとカルチャーショックを受け、帰国後私の奏法はウィナリッシュであるにもかかわらず、ツェパリッツやエスコー・ライネ(彼はギュンター・クラウスの弟子です)の奏法を取り入れてみようと本気になって考えました。
通常のウィーン・スタイルでは、満足できないようなアロイス・ポッシュの姿勢がよく理解できました。(最近のピアソラのタンゴの伴奏をみても、やはりポッシュは普通のウィナリッシュとひと味違い、さすがだと思いますがウィーンフィルやめちゃいましたね。まだ若いのに。)
ベルリン・フィルには現在3人のソロバスがいます。
クラウス・シュトールは、オーケストラでは自由気ままに弾いているように見えますが、やっぱりすごい技術もってます。教師としても優秀で、彼の弟子はみんな立派な奏者です。
彼がベルリナー・ゾリステンで来日した際、当時私が2nd.楽器で持っていたマックス・ペルマン(1928年製)を彼に貸しましたが立派な音を出していました。(この楽器は私が大学2年生の時に手に入れた初めてのまともな楽器で、今のペルマンとは違いとても素直で弾きやすい楽器でした。後日、後輩に譲り関西に行ってしまいましたが、阪神大震災に遭遇したものの無傷で残り、現在も活躍中です。)
先だってクスマウルやゾンネ達とのアンサンブルを聞きましたが、ビブラートはともかく、大変なテクニシャンであることを再確認できました。しかし相変わらず( )は大きいです。
日本人の奥さんを持つヤンネ・サクサラも、シュトールの弟子ですが、テクニックは抜群です。今度またソロバスに復帰しました。
同じ年代の、マルティン・シュミットもヤンネのように素晴らしい弾き手で、彼等が同じプルトでのびのび弾いている姿を見るとベルリンフィルの将来も楽しみです。
エスコーもまたソロバスに復活しました。彼が頑張って、バスセクションが昔のように戻ってくればと思っています。
最近、少し機能的になりすぎの感があったんですが、これってやはりシェフの影響も大きいのかな?ラトルはなんでも振っちゃうみたいな人だから。
でもエスコーはハンス・アイスラーで教鞭をとっていて彼の弟子は今皆すごいレベルだそうです。彼自身も一昨年10月にはコミッシェオパーのシンフォニーコンサートにトゥービンのコントラバス協奏曲のソリストとして登場し活躍してます。
ヴァッツェルさんはトゥッティになりました。ベルリン・フィルの日本公演の際、パーティーで話す機会がありました。ディヴェルティメント・ベルリンでの演奏でもわかるように、非常に実直で真摯な方でした。以外と体が小さい(私より背が低い)のに、オケで使っている楽器は弦長116センチもあるのだそうです。シュトールとコーリーさんが65、ヴァッツェルさんも64ですから、彼らのベルリンフィルでの生活もあとわずかになってしまったんですね。
若手のソロバスだったシェハタは、2003年のミュンヘンコンクールでコントラバスで初めて一位となった人で、その前はシュターツ・オパーのソロバスでした。
クウェートの生まれで、最初は文屋さんに、その後ハンスアイスラーでエスコーに師事しました。
ジルベスターにはコンツェルトハウスの小ホールでクーセヴィツキーの協奏曲を弦楽伴奏で演奏してました。先日は定期でニーノ・ロータを弾きましたし。
だけどベルリンフィルやめてミュンヘンで先生になってしまいました。
ベルリンフィルに行ってみよう
Konzerthaus Orchester Berlin
これまでBSO・ベルリン交響楽団と呼ばれてきたオーケストラです。クルト・ザンデルリンクの薫陶を受けた旧東側のAオケですが、ここも機能的には素晴らしい。音は、硬質でややアメリカンな所があるのは、なぜでしょうか?かつては、ザンデルリンクの奥さんであるバーバラもこの楽団のソロバスでした。
ここの主席の、シュテファン・ペゾルドも若く優秀なバス弾きで、後進の指導もしているとのことです。
今はコンツェルトハウスと呼ばれている、ベルリンで一番美しい広場、ジャンダルマン・マルクトにあるシャウシュピール・ハウスで定期演奏会を開いていて、インバルのシェフ時代、意欲的なプログラムを組んでいました。幻想とレリオを同じ日のコンサートでやったり。インバルの後任はローター・ツァグルロゼクとか・・・
このニューイヤーはミヒャエル・ギーレンがブルックナーの8番演奏しましたが、ゆっくりなテンポだけど停滞せず素晴らしい演奏を聞かせてくれました。
コンツェルトハウスオーケストラに行ってみよう