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Syntagma Musicum
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1600年以前の楽器に関する知識は、その殆どが絵画(不正確なことが多い)や、Virdung, Agricola, Ganassi 等の極めて貧弱な記述に依っている。しかし17世紀初頭において、Michael Praetorius 著の Syntagma Musicumが出版されるに至る。1618〜20年に刊行された3巻に及ぶ著書である。その第2巻(Organographia)は楽器の手引き書であり、Theatrum Insrumentorum と名付けられた付録には42の楽器の木版による図版が掲載されている。Besserboffは「この書は、現代の楽器製作上、極めて貴重な記録である。この図版はBrunswich feetを基として正確に描かれており、その価値は計り知れない。」と述べている。従ってこの書からは楽器のサイズがある程度正確に理解出来るようになったのである。このSyntagma Musicumにより今日の弓弦楽器に向けての飛躍的な進歩がなされたといえよう。この書においてはgross geige は alte fiedel として掲載されており既に旧式の廃れた楽器として分類されている。しかしSyntagma Musicumの刊行される以前に da SaloやAndrea Amatiがヴァイオリン、チェロ、そしてバスを製作していた、という周知の事実が浮かび上がる。彼等の製作した楽器は極わずかではあるが現存しており、これらは本質的に今日用いられている楽器と何ら異なる所のない楽器なのである。 長い間見捨てられてきた viola da braccio 族の gross quint bassはgambaとは異なったチェロとバスの中間に位置する楽器として今日まで理解されている。Praetrius がこの quint bass を bass geig da braccio と名付けて以来、それがチェロに非常に似ている為、しばしばチェロと間違えられていたのであるが、Beseraboff はRuhlmann に同調し以下の様に述べている。 「Large quint bass violin に関して・・・・・Sciagraphiaの表]]Tの楽器を調べると、これは5弦、胴の長さは85.6pである。従ってこの楽器は Large quint bass に分類すべきである。Praetoriusu の命名した bass geige de braccio という名は明確な物でなく、その名の通りに理解すべきでない。」 viola da braccio 族の他の楽器と同様にこの楽器の指板にフレットはない。調弦F−1,C−2,G−2,D−3,A−3で、高い方の4弦は5度間隔でありチェロと同じである。Mersenneの図版と見比べると、この2つの楽器は弦の数が違うだけで、他は全く同一である事が判ると思う。この楽器の胴長が85.6pであると前に述べたが、今日の平均的チェロの胴長は75pである。(Praetorius の時代のチェロは80pであった。)Warneckeの Ad Infinitumにはこの最大のviola da bracchioについての記述はない。 この様な全くヴァイオリン型でチェロよりも大きな弦楽器は極わずかしか作られなかった様で、現存する物も殆ど無く図版に頼る以外理解する術はない。(但し後にイギリスのForster等極僅かのメーカーがこの様なチェロ型のバスを製作しており、デトロイト交響楽団所有のMaggini作とされるバスもその1つである。)
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Violone
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バスの論文においてよく出合う violone という名は、元は大小にかかわらず、 consort viol に対して用いられた言葉である。それが viol 最大の楽器 double−bass viol にたいしてのみ使われるようになったのは、16世紀以降である。Praetorius が viol に分類した2つの大きな弦楽器は、 violone あるいは gross viol gamba bass,そして gross contrabass geige である。後者は特別に大きく、今日使われているどの楽器よりも大きい。 violone ( gross viol da gamba bass )は6弦で、その概容から viola da gamba bass の後を受け継ぐものと思える。 violone は、 viola da gamba bass のようになで肩でフレットのある指板を持つ。 bass gamba は c 孔、ライオンヘッドであるのに対し、violone は viola da braccio 族のように渦巻、f 孔を持つ。角も braccio 族の様にとがっている。6つの大きな糸巻は、小弦楽器の場合と同様に糸巻箱の横側から差し込まれている。裏板の状態は確かめられないが、その名からはフラットバックを連想させられる。(但し、1600年頃作られた da salo のバスにはアーチドバックの物もある。) 6弦の violone にはいくつかの異なった調弦がなされた。Haysは「violoneには普通の bass viol よりオクターヴ下の調弦がなされたが、時々第3弦と第4弦の間の長三度が四度に変えられることもあった。」と述べる。 Panumは「全ての6弦の gamba は Lute の様に四度と三度の調弦がなされたが、大きな viola da gamba だけは、四度で調弦された。」としている。 Praetorius は、D−2,G−2,C−3,E−3,A−3,D−4 そして、 E−2,A−2,D−3,G−3という様な調弦法を記している。 Warnecke によれば、「gross viol da gamba あるいはKontrabassは奏者の好きな様に調弦された。演奏に適しさえすれば何ら差し支えないのである。」となる。 Besserboff の調査によるviolone (gross viol da gamba bass)のサイズは、胴長114p、全長191.5pで、胴は現在の3/4サイズのバスより少々大きい。(但し、この楽器の胴長は L’yon and Healy によると113.7p、 Scherl and Rothでは111pとされている。)
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Gross contrabass geig
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Praetorius の残る1つの大きな Viol は Gross contrabass geig である。胴長140p、全長実に239pという巨大な物である。violone の様になで肩で、フレットのある指板、f 孔、ヴァイオリン型の角、渦巻のある糸巻箱を持つ。しかし五弦で調弦は D−2,E−2,A−2,D−3,G−3である。即ち最も低い第五弦を除けば、今日のバスと全く同じ調弦がなされたのである。(今日使用される五弦のバスの第五弦はC−2あるいはH−1に調弦されている。) この楽器はBesserboff, Ruhlmann, Warnecke等の著書にも載っているが、自信バス弾きである Warnecke のみが楽器と共に弓と小さなレンチをも紹介している。 彼は「ちいさな楽器(violone)の場合い、糸巻を手で操作できるが、これくらい大きいとそれがfかの羽でありレンチを用いた。」と述べている。 以下の文章はBesseraboffが Syntagma Musicumから引用したものである。この巨大楽器についての物で極めて興味深い。 「ここに最近出来た極めて大きな violn de gamba sub bassがある。この巨大なcontrabassをチェロに例えるならば、小さな viol de gamba bassはヴァイオリン位になってしまうだろう。この楽器の為に17,そして21の声部を持つ聖歌を作曲したが、幸いにも極めて素晴らしいものとなった。この中で五つの声部は全て弓弦楽器により通常より1オクターヴ低く奏される。従ってオルガンの16フィートの管より三度あるいは五度低い音の出せる巨大な弦楽器が必要となる。通常の violn de gamba を上、中声部に用い、この巨大な sub bassが最低声部を受け持った時のその響きは真に素晴らしく、遠くから聞くとまるでオルガンの様であった。」 この低音担当の弦楽器達の生み出す音が全く尋常でないことは容易に想像出来るであろう。Praetorius の指定によると、高声部はチェロより僅かに大きな胴長78.5pの通常の viola da gambaが、アルト・テナーは通常のあるいはそれより少し大きなバスが、そして低声部は全長7フィート以上の怪物楽器が使われることになる。 バスは他の弦楽器と異なり、その歴史を通じ標準型といった物は存在しない。その構造、弦の数、調弦、弓、奏法などが、時代、国によって異なるのである。しかしながら、Praetoriusの gross contrabass geigeの出現により、バスは少なくともその外形(大きさを除いて)は現在の最もポピュラーな形となり、この楽器は今日まで400年のバスの歴史の祖となっているのである。
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