シュターツ・オパー
特筆すべきは、オペラです。
ベルリンには、世界でも第1級のオペラが何と3つも有るのです。
日本でベルリン国立歌劇場といわれるシュターツ・オパー。
オーケストラとしてもベルリン・シュターツ・カペレとして日本でも有名です。シェフはバレンボイムですが、ユダヤ系の彼のタクトのもとにドイツ人のオーケストラメンバーが毎晩演奏会を開いているこのオパーの、ウンター・デン・リンデンをはさんでちょうど向かいにあるヒストリッシェ・ムゼウムでは、ナチスのユダヤ人の虐殺のフィルムを毎日上映していました(現在ムゼウムは一部閉館中)。何か複雑な気持ちになってしまいます。
ここのオケは確かに上手だと思います。メンバーも若返ってバスセクションも立派です。昨年のドイツのオペラのオーケストラ中第一位となったのもうなづけます。かつて、ザンデルリンクの振ったロマンティックは、シュターツ・カペレの面目躍如といった演奏でしたし、オペラでもアンサンブルはさすが。きっちりと練習を積んでバレンボイムの兵隊みたいになったときのアンサンブルやオーケストラの機能は本当にすごい!ここのコントラバスの学生プローベ・シュピールで大阪の幣さんのご子息、文屋さんの弟子の隆太朗さんが入って活躍してます。今年のフェストターゲはバレンボイムとブーレーズでマーラーの交響曲チクルスをするのは本当に期待大!今年は日本にもきますね。
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コーミッシェ・オパー
やはり旧東側のコーミッシェ・オパー。ここはモーツァルトなど、演目によっては、世界一ではないかと思います。ウィーンのフォルクス・オパーとはレベルが違います。演出のクプファーはさすがです。
このオーケストラのソロ・バス、イェルク・ロレンツのボッテジーニやハイドン、ロッシーニを聞きましたが、楽器の善し悪しはともかく、立派な演奏でした。
先日来日した折、彼と話したのですが、彼はハンスアイスラーで、現在ドレスデン・シュターツ・カペレのソロバスのボルヒマンについていたのだそうです。
ボルヒマンはコーミッシェ・オパーのソロバスをしていましたが、当時のドレスデンのソロ・バス、ハインツ・ヘルマンが西側に亡命したので、そのドレスデンの後任にボルヒマンが移り、空席のコーミッシェ・オパーにはイェルクがソロとして入ったのだそうです。
東西に別れていたベルリンには、コントラバスの世界でも、いろんな人生模様があるもので、分裂前東側での優秀な奏者であった、クラウス・トゥルンプフは、なんと壁がくずれた1989年に西側に亡命し、崩壊後旧東のハンス・アイスラーに戻りたいと申しでましたが、彼の望みは叶わず、現在ミュンヘンで活動しているのです。
ここではヴァイオリンのフォアシュピーラーで米沢さんが活躍しており、指揮者陣には坂哲郎さんもいます。それに芸大でシュターツオパーの幣氏の一学年下で、カラヤナカデミーでシュトールについた青江氏がここのソロバスになりました。
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ドイチェ・オパー
西側には、やはり有名なドイッチェ・オパーがあります。ここの合唱は素晴らしいの一言。カルミナ・ブラーナを聞いたとき、やはり凄い、ドイツの音楽だと思い知らされました。
ここのバスには、日本でも有名な、ノルベルト・デュカや、ゲルト・ラインケがいました。(ラインケのCDはお勧めできません。ちなみに、過日親善演奏旅行でドイチェオパーがテルアビブを訪れた際、ホテルのチェックイン時に自分の名前をアドルフ・ヒトラーと書いて大騒ぎとなり、即刻退団となったのは、このラインケです。)
N響の志賀氏は、かつてここのオーケストラに所属していました。
演出では、やはり有名なゲッツ・フリードリヒが活躍していましたが、すでに故人になってしまいました。
シェフとして期待されていたティーレマンは、人気先行ではなく本当に棒のふれる人だと感じました。実はこの人、ユダヤ系との噂があり、それまでドイチェ・オパーに対して非常に攻撃的だったバレンボイムが、ティーレマンがシェフに決まってからおとなしくなったと言うことも、何か政治の力を感じます。
しかし、このティーレマンもベルリン市の補助金の削減に対し、より多くの予算をくめないのなら辞めるといったものの、ベルリン市も助成額のアップはかなうべくもなく、結局ティーレマンが辞任しちゃったんですね。
このような環境悪化によってドイチェオパーの出来が悪いという評判も出ており心配です。
昨年の12月には日本でも話題となったムハンマドの首がイエスや仏陀・ネプチェーンとともに台の上に並ぶという演出が危険だと、一時上演中止になったイドメネオを聞いてきました。オペラの入り口に空港並のセキュリティチェックの機械を並べ、警察も周りでデモるユダヤ系の人々に対する警備で大変でした。
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