マティアス・ブーレバー
つい最近、BERLINで入手しました。友人のPilarの所のAndreasに、ドイチェオパーのプレイヤーが使っていたNuernbergerを欲しいと頼んでおいたのですが、大きな節があってこれを諦めたとき、近くにお店をもっているブーレバーが1本自分の弓を持ってきてくれたものです。彼は、Andreasと同じ頃、MITTENWALDでザイフェルトについた弓づくりのマイスターです。
持って第一感で「これはいい!」と思いました。弾いてみても、音色・引っかかり・音量とも申し分ありません。
シュピッツがヴァイオリンっぽいのと、反りがやや少ないのが特徴で、重さは136グラム、重心はフロッシュ端から18センチとバランスも適度です。
ギュンター・ホイヤー
お馴染み、ホイヤーも当家には2本あり、1本は薄いニスの角弓、もう一本は濃いニスの丸弓です。
角弓は同時に2本求め、使用せずストックしておいた物ですが、ごくオーソドックスな癖のないホイヤーです。(使っていた方の弓は、後輩に譲りました。)
オーケストラで用いる弓としては、マッサーリが予想以上によくできあがったので、未だ眠ったままです。
丸弓の方は、バランスの非常に良い弓で、スピッカートも楽にできます。私は、ホイヤーの、いかにもオストのケチったような銀線が好みではないので、先輩のヴァイオリン屋さん(町田のパガニーニ)にお願いして、普通の弓のように銀線部分を多くし、皮巻きも変えてもらいました。
複数の弓を持っていても、いつも使う物は、一つに限られてしまうもので、この丸弓も、現在某在京メジャーオケの主席奏者のところに貸し出し中です。
ヘルマン・リヒャルト・フレッチナー
フレッチナーは大変素晴らしい弓ですが、現在つくられている物はどうも、感心できません。
私が、学生の頃は、軽めですが、非常に反応がよく、音色が良い弓がたくさんあり、多くの奏者が用いていました。
当時、後楽園の茶木(現在の文京楽器)には、いっぱいフレッチナーがおいてあって、その中から好みのものを選ぶことができました。
この頃のフレッチナーはフロッシュが小さいのですが、これはシュトライヒャーが自分の奏法に適するようにフレッチナーにオーダーしたためだそうです。
当時は値段も手頃でした(一番いいので確か定価が7万5千円)ので、フレッチナーは使い捨てというように言われていたこともありましたが、現在当時の弓を手に入れるのは結構難しいようです。
現在、当家にある弓はフレッチナーとしては3.4、5本目のもので、ともにベルリンで見つけたものです。
1本は、今世紀初め頃の物で、オリジナルの柘植のような茶色のフロッシュがついた短めのものです。
弓の形状も現在のものとずいぶん異なりますが、非常に使い勝手が良い弓です。
もう1本は30年位前のもので、非常に長い(82センチ位。普通のものより6センチくらいも長い)弓です。
このように長いフレッチナーもかつてはあったようで、読響の樋口氏が使っている弓も、もとは同様に長かったようで、現在扱い易いよう短くカットして使用しているとのことです。
先日、フランクフルトオパーの野田氏が預かっているというフレッチナーを弾きましたが、これも非常に長い物でした。
これは小生の物と異なりかなり細手で柔らかいものでした。
最後の1本は、つい最近入手したものです。
ベルリンドイツ交響楽団を引退したプレイヤーが云十年使用していたもので、これも第2次世界大戦前の弓でしょう。
非常にしっかりした素晴らしい竿で、軽いのですが、音量は充分、反応も素晴らしい。
フロッシュは今の者と違って若干高めかな?掘り出し物でした。