クヮーブル研究室
本土ヒラタの積算温度レース
九州から東北南部まで生息している本土ヒラタクワガタ。ところが、同じように広く分布しているコクワガタやノコギリクワガタとは違い、産地によって大きさが違うようです。西日本のほうが大きくなるらしいのですが、はたして本当でしょうか? この疑問を解明するのがこの実験の目的です。また、みなさんに協力していただき、採集されたオスのヒラタクワガタの体長を計測し、データを集めています。
最新のデータは、↓こちらをごらんください。

本土ヒラタワイルド♂体長データ(都府県別)
実験の方法
左のマップで示したとおり、3つの県で採集されたワイルドヒラタ♀を2001年夏に産卵させ、孵化した幼虫を同じマット・温度で飼育し比較しています。もちろん、頭幅や体重で比較してもいいのですが、今回は積算温度という「ものさし」で比べてみたいと思います。
じつは、昆虫が発育する期間と温度のあいだには、つぎのような関係があります。

(T−Tº)D=K

T …飼育温度
Tº …発育限界温度(発育ゼロ点)

D …発育日数
K …有効積算温度

つまり、
クワガタの幼虫を25℃で飼育している場合…T=25
幼虫がエサを食べず、発育しなくなると考えられる温度…Tº=15
孵化してから100日たっている場合…D=100
ならば、
(25−15)×100=1000  になり、
孵化してからの有効積算温度は、1000℃になります。
▲01/11/20から25℃一定
同じ種類の場合、一般に有効積算温度が高いほど体長は大きい
右下の表をごらんください。データ数が少ないので積算温度と体長が必ずしも比例していませんが、メスのほうが明らかに有効積算温度が低く、同じ環境なら早く蛹化することがわかります。では、埼玉、香川、宮崎各産地の幼虫がi孵化してからどのくらい有効積算温度をかせいだか、くわしくはこちらを見てください。
孵化してからの有効積算温度

【蛹までの有効積算温度】
(今回の実験結果)
埼玉産 宮崎産 香川産
1731℃ 1369℃ 1881℃
45ミリ 未計測 未計測
 各産地の画像はこちら
【埼玉産ヒラタの蛹化までの
有効積算温度と体長(成虫)】
有効積算温度 体長
オス 2140℃ 53.5ミリ
1963℃ 49ミリ
1632℃ 52.5ミリ
1603℃ 43ミリ
メス 1760℃ 32ミリ
1215℃ 29ミリ