むかしむかしあるところに、おじいさんと
おばあさんがすんでいました。
おじいさんは山へしばかりに、
おばあさんは川へせんたくにでかけました。
おじいさんは、ちょうど目の高さのあたりで
クヌギの木のえだを切っています。
マキにするには、いまがちょうどいい太さです。
いっぽう、おばあさんが川で洗濯をしていると
川上から大きな枯れ木がドンブラコ〜と流れてきました。
おばあさんはいい「うす」がつくれるとおもい、
家に持ちかえりました。
かえってきたおじいさんが斧でわってみると、
なんと中から大きな
クワガタがでてきました。
「おやまあ、この子はあたまにカブトをつけているよ!」
とおばあさん。
「この子はきっと立派な武将になるにちがいない!」
とおじいさん。
「クワガタムシに似てるからくわたろうと名づけよう」
それから、30年。くわたろうは、立派な武将に成長し、
とうとう甲斐の国(今の山梨県)を治める大名になりました。
人々からも厚い信頼をえて、農業もさかんになり、
すばらしい里山ができました。
それからさらに数百年たち、いまの世の中になりました。
おじいさんのつくったクヌギは大きく成長し、
「台場クヌギ」と呼ばれ親しまれています。
村人は、そのうろの中に住んでいるオオクワガタを
「くわたろうの生まれかわり」だと信じて、
だいじにしているということです。
(おしまい)
●アイコン提供・・・やっちーさん