アガ〜る? サガ〜る? 「重力走性」実験

さて問題です!
エレベータに、メスのクワガタが一匹乗りました。
このエレベータは、上に行くでしょうか? それとも下に行くでしょうか?
・・・・なぁんていう意地悪クイズがひところ流行りましたね。最近は英会話のCMでも取り上げられました。

本題はといえばまさに上のとおりで、クワガタが上に行きたがるか、下に行きたがるか・・・という
性質を調べようとするものであります。
重力に従って下に行こうとする場合を「正の重力走性」といい、その逆を「負の重力走性」といいます。
テントウムシを枝に置くと先端までよじ登り、TAKE OFF! という状況をよく見ます。
「ブタもおだてりゃ木に登る」といいますが、このブタは「負の重力走性」があり、
カタツムリも、ある角度以上の場所に置くと「負の重力走性」を示すそうです。
それぞれの生物に応じて、この性質も変わってきます。

左下の写真はコクワガタ♂を、45度の斜面に置いたもの。右下は、90度の斜面に置いた状態です。
どちらも最初は頭が横に向くよう体を水平に置きます。




実験は下記のように、虫に対する刺激が少ない条件で行う予定。
@夜行性のクワガタは日光を嫌い下がりがちなので、テストは夜に行なう。
A月光の影響を受けない場所で行なう。
B樹液やゼリーなどの影響を受けないようにする。
C他の個体の影響を受けないよう、単独で隔離して行なう。

いろいろな種・性別・体格別で試すなかで、仮説として「飛翔性」との強い関連が予想されます。
例えば、
@カブトとクワガタと比べた場合、カブトの方が上に行きやすいのではないか?
A♂と♀を比べた場合、♀の方が上にいく?(灯火への飛来頻度から)
Bあえて満月の夜と新月の夜で実験をし比較してみる。
・・・・・・などなど。
しかし、地面に潜ることも多いクワカブはけっこう「正の重力走性」を示すかもしれない。
また角度との関連では、正または負の重力走性が現れるのは何度からか?
・・・・・・など。

初夏の林では、おそらく羽化したてであろう個体が幹を登っている光景に出くわします。
樹液を探しに飛び立とうとしているのでしょうか。
このように、生態のさまざまなシーンで行動パターンも変わりますので、
「絶対的な重力走性」という性質は見出せないかもしれませんが、また新たな謎や疑問が
湧いてくるような有意義な実験になれば、と思います。